第3話 初めての依頼


ギルドの扉を出ると、エリオの胸は高鳴った。

初めての依頼――森の小さな魔物討伐。

名前は簡単だが、心臓の高鳴りは尋常ではない。

「俺…本当に大丈夫かな…」慎重すぎる思いと

勘違いが、胸の中でせめぎ合う。


森の入り口までの道は、町の外れの林を抜ける

だけだ。だが、エリオにとっては未知の世界。

草むらの中で足を滑らせ、木の根に躓き、転倒。

「うわっ!弱すぎる…いや、まだ序章だから…」

必死で立ち上がり、短剣を握り直す。


森の入り口には、古い看板がかかっていた。

「小魔物注意」と書かれ、絵が下手な魔物の

姿が描かれている。エリオは凝視し、心の中で

「こんなの…本当に小さいのかな…?巨大かも…」

また勘違いしてビクビクしてしまう。


森に足を踏み入れると、風の匂いが変わった。

湿った土、木々の香り、遠くで鳥の鳴き声。

だが、枝が服に引っかかり、頭に葉っぱが

貼り付く。「うわあ、俺…敵の罠に捕まった…」

本当に罠ではないが、エリオは全力で戦闘態勢。


小道を進むと、落ち葉の中から小さな影が飛び

出した。黒くて丸い目をした小魔物。エリオは

剣を構え、慎重に距離を取る。だが、魔物は

ちょこちょこ跳ねるだけで、攻撃はしてこない。

「…本当に小さいのに、油断できない!」勘違い

全開で、汗を拭きつつ構える。


魔物は突然、木の枝に飛び移り、そこから

エリオの頭上に落ちる。エリオはびっくりして

後ろに倒れ、木の枝に引っかかる。パンツが

半分見えた状態で、地面に転がりながら短剣を

振る。「うわあっ!これは反撃だ…!」勘違い

の大騒ぎで、魔物はさらに逃げる。


森の奥へ進むと、小川が流れていた。渡ろうと

した瞬間、石につまずき、水にドボン。全身が

びしょ濡れになり、短剣も水に浸かる。

「うわあ…俺、本当に弱いな…」と頭を抱えるが、

魔物は驚いて逃げていった。本人は偶然の勝利と

思い込み、満足げに立ち上がる。


さらに進むと、小さな洞穴が見えた。中から、

魔物の小さな声が聞こえる。エリオは息を整え、

「ここが…ボスの巣か…?」と真剣に言う。

洞穴は小さく、魔物もまだ小さい。だが、エリオ

は全力で慎重に歩を進める。


洞穴に入ると、魔物は二匹、顔を見合わせて

こちらを伺っていた。エリオは構えを取り、

短剣を振り上げる。「うわ…やっぱり強敵かも…!」

勘違いで心臓が爆発しそうになる。だが、振った

一撃が偶然、魔物の頭をかすめ、二匹は驚いて

逃げる。本人は「俺の剣技、冴えてる!」と大満足。


洞穴を出たとき、汗だくで息も荒い。森の中で

何度も転び、葉っぱに絡まり、水に落ち、勘違い

して全力で戦った結果、魔物は討伐完了していた。

本人は全く気付かず、「まだまだ弱い…でも、

少しは強くなれたかも…」と呟く。


帰り道も、ドタバタは続く。枝に引っかかり転倒、

泥に足を取られ水たまりにダイブ。途中で小鳥が

パンを持って飛ぶと、「敵かもしれない!」と

剣を振り回す。もちろん敵ではなく、また笑いを

誘う勘違い劇。


ゴールドリッジに戻ると、ギルドの扉を開ける。

「ただいま…無事、任務完了です…」泥だらけで

へとへとの体を見せながら、エリオは報告に

向かう。エルシアは微笑み、「お疲れさま、よく

頑張ったわね」と言う。エリオは赤面しながら

「まだまだ弱いです…」と答える。


しかし、心の中では満足感が湧いていた。初めての

依頼で小さな魔物を討伐できたこと、勘違いと

ドタバタで乗り切ったこと。これが、彼の冒険の

最初の一歩になったのだ。


扉の向こう、ギルド内の冒険者たちの笑顔と

活気が、次の冒険を呼んでいる。泥だらけの少年は

胸を張り、短剣を握り直した。「よし…次も頑張る!」

小さな森の魔物討伐は、彼にとって大きな勝利だった。


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