第2話 ゴールドリッジ到着・ギルド初体験


ゴールドリッジの町門を抜けた瞬間、エリオの目は

輝きを増した。高い石造りの建物、にぎやかな

商店街、そして行き交う冒険者たち。心臓が跳ね

る。まるで、自分がこの町の主人公になったような

気分だった。


「ふう…ここが、俺の新しい世界…!」と呟き

ながら、背中の荷物を揺らす。だが、荷物はすぐに

肩からずれ、前のめりに転倒。通行人の足元をすれ

すれでかすめ、何とか倒れずに済む。本人は

「危なかった…俺、慎重すぎるくらいで正解だ」と

真剣そのものだった。


町の中心を目指す途中、野良犬とぶつかる。犬は

尻尾を振って喜ぶが、エリオはなぜか警戒し短剣を

構える。「ちょ、ちょっと待て…敵かもしれない!」

犬は無害だが、勘違い全開のエリオは全力で

睨みつける。通行人は笑い、犬は逃げ、エリオは

「俺の戦略、完璧…」と自己満足。


やっとのことで冒険者ギルドの建物前に立つ。

大きな木製の扉に掲げられた看板には、「冒険者ギルド」

と金色の文字。重厚な雰囲気に、少し背筋が伸びる。

だが、緊張のあまり荷物の紐がほどけ、パンや

水筒が床に転がる。「うわっ…冒険の入口から大惨事」

と心の中でつぶやく。


扉を押して中に入ると、空気はひんやりとし、

木の床が軋む音が響く。冒険者たちが談笑する中、

エリオは泥だらけの体を気にして肩をすくめる。

「これでも…大丈夫なはず…!」


案内嬢のエルシアが近づいてきた。透き通る青い

瞳と淡い金髪の少女で、穏やかな笑みを浮かべる。

「初めまして、冒険者ギルドへようこそ。君が新人の

エリオくん?」エリオは驚き、口から泡が出そうな

勢いで返事をする。「あ、あの…はい…えっと…

弱いですけど…」


エルシアは微笑みつつも、首をかしげる。

「弱い?でも、背負ってる荷物が重そうね…」

本人は全力で頷き、頭の中で「やっぱり俺、弱すぎる…

でも、ここで修行すれば…」と自分の弱さを再確認する。


ギルドの中は想像以上に賑やかだった。冒険者たちが

依頼を受ける声、武器を研ぐ音、笑い声。エリオは

興奮で目が泳ぐ。だが、足元の泥がギルドの木床に

べちゃりとつき、数人の冒険者が振り返る。

「うわっ…最初から迷惑…!」本人は赤面。


エルシアに案内され、依頼掲示板の前に立つ。

そこには森の魔物討伐、洞窟探索、荷物運びなどの

簡単な依頼が並んでいた。エリオは「俺、まだ弱い

から…簡単なのから…」と慎重に目を走らせる。


だが、慎重すぎて掲示板にぶつかり、貼り紙が

床に散らばる。「うわあっ…俺、何やってるんだ…」

冒険者たちがくすくす笑う中、本人は真剣に

謝り、必死で掲示板を直す。「これも…訓練だ…」


すると、ギルド長のレオダンが奥から現れる。

大柄で威厳のある男性。剣を持つ姿が冒険者らしく、

エリオは思わず後ずさる。「う、うわっ…強そう…

俺、瞬殺されるかも…」勘違いで腰が引ける。


レオダンは低く笑い、手を掲げた。「新人か、

大丈夫だ。まずは簡単な依頼から始めるといい」

エリオは心の中で「やっぱり俺、弱いから慎重に…」

と自己暗示。しかし、内心では胸が高鳴っていた。


その後、エリオはエルシアに連れられ、依頼の書類を

受け取る。ペンを持つ手が震え、書類を落とす。

「あ…す、すみません!」ドタバタと拾う姿に、

ギルドの他の新人たちも笑う。本人は焦りつつも、

これを冒険の第一歩だと思い込む。


ギルド内の雰囲気、冒険者たちのざわめき、

依頼の掲示板、笑う仲間たち。すべてが新鮮で

眩しく、エリオの心は期待でいっぱいだ。


「ここから…俺の本当の冒険が始まる!」

泥だらけ、勘違いだらけ、ドタバタだらけの少年は

胸を張り、短剣を握りしめる。ゴールドリッジの

冒険者ギルドは、エリオの物語の舞台となった。

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