第17話 暗い過去(8)

 それでも絵里ちゃんは泣きながら、気が触れたように、子供を産む! と連呼……。


 ママさんの方は憤怒しながらダメ! と降ろせ! の連呼……。


 絵里ちゃんとママさんは言い争いを続けるけれど。


 最後に絵里ちゃんがママさんに言ってはいけないこと告げてしまう。


「……ママだって、死んだパパを裏切って誰の子かわからない由美を産んだじゃない……。そして一人でひっそりと育てているじゃない……。だから絵里だって、お腹の子を産んでもいいじゃ、ん……。そして一人で育ててもいいじゃ、ん……。ママには迷惑をかけないから……」


 絵里ちゃん自身もママさんにこんな言葉は本当は言いたくはない。


 だって父親が違うにしても、絵里ちゃんは由美ちゃんの実のお姉ちゃんであり、彼女自身も年齢が離れた妹のことが可愛くて仕方がない。


 もう、それこそ! 自分のようなひねくれ者のツンツンとした不良娘には由美ちゃんはなって欲しくはないから。


 ママさんよりも絵里ちゃんの方が蝶よ! 花よ! と由美ちゃんを甘やかせ、可愛がって育てている。


 だから由美ちゃんはパパさんがいない片親だけと、とても呑気で穏やかな性格でスクスクと育っているくらい。


 絵里ちゃんにとって由美ちゃんは目に入れても痛くない可愛い齢の離れた妹さんだけれど。


 あの日の絵里ちゃんは、ついついママさんへと売り言葉に買い言葉で、絵里ちゃんは、ママさんが言われて一番傷つくことを『ママに言ってはいけない!』と自分自身に言い聞かせても。


 絵里ちゃんも自分のお腹の子供が可愛いからついついとママさんのことを侮り、嘲笑ってしまった、


 だからあの日! ママさんの顔色が一気に変わり憤怒!


 ママさんの口から「絵里!」と荒々しく彼女を名指しすれば。


《バチン!》


 絵里ちゃんママさんの腕が自然……。無意識に振り上げられ! 振り下ろされ!


 ママさんの掌は可愛い絵里ちゃんの頬を打った!


 まあ、だけでは収まらず……。


「絵里! 今直ぐ出ていきなさい!」

「二度と部屋には戻ってこなくてもいいから!」


 ママさんは心にもない言葉を絵里ちゃんへと告げてしまう。


 だから絵里ちゃん自身も、もう幼子ではないから、由美ちゃんのように。



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