12月24日 / クリスマス
寒い風が夜の街に吹き込んでくる。
どこをみても綺麗な光が輝きクリスマスを彩っていた。
僕は舞と手をつなぎながら、賑やかで暖かな雰囲気を楽しんでいた。
「イルミネーション綺麗だね。」
「そうだね。」と舞は頷いて笑顔で手を握り返してくれた。
舞はふわふわとした真っ白なコートで身を包んでいた。
髪先から指先まで見えるところは綺麗に飾られており、楽しみにしていたのだと感じられた。
僕と出会ってからまだ1ヶ月にも満たないのに、こんな姿を見せてくれることに、とても愛おしく思っていた。
「なんだか不思議だな。ゆうくんと二人で歩いてるなんて。」
「そうかな、僕は会ったときからこうなるって思っていたよ。」
「えーあの時、私を慰めてくれたんじゃなくて、ナンパしたってこと?」
「違うよ」と僕は慌てて訂正して、「同じ匂いがしたんだ。」
「匂い?どういうこと」
「舞を見た時に放って置けないなって思ったんだ。」
「なにそれ。」
僕たちは先月公園で知り合った。
舞は公園のベンチで泣いていて、その姿は失恋した自分のようで声をかけたのが出会いだった。すこしだけ僕たちはにているのだと思う。
だから、舞が顔を背けているのは照れているのだと分かっていた。
広場ではクリスマスマーケットが催されていて、お店が至る所に出店されていた。
僕たちは人の波を掻い潜り、いろんなお店を見て周った。
「あ、これ」
舞は何かを見つけ駆け寄っていく。
飾り気のない動物のフィギュアが置かれている普通のお店だった。
彼女はクラゲのフィギュアを手にとって目を輝かせていた。
手にもつクラゲはなんだか不思議な雰囲気を纏っていた。
ガラスのように透明で中を覗いてみると僕の顔を万華鏡のように映し出していた。
「これすごっく可愛い。一目惚れしちゃった。」
「買ってあげようか。」
「いいの」と舞が聞くと「もちろん」といい代金を支払った。
舞は包装紙に包まれたクラゲを受け取り優しく笑ったあとに「ありがとう」といった。
僕は嬉しくなり笑顔を返した。
それから僕たちは家路につく。
先ほどまでの賑やかさは消えてゆき、だんだんと夜の静かさが染み込んでいった。
街頭に照らされては、また闇へと沈んでいく。
お互いに段々と無言になるが、手から伝わる温もりだけを頼りに進んで行った。
マンションに辿り着いてからエントランスからエレベータで3階まで上り、家の鍵を回した。真っ暗な玄関を照らす廊下の灯りを頼りにスイッチを探して電気をつけた。
「おかえり」と僕がいうと舞は「ただいま」といって抱きしめてきた。
手を回して彼女の背中に手を回して力をこめると柔らかな感触がした。
心臓が跳ね上がり体温が上がっていくのがわかる。同時に多幸感に包まれてゆく。
「ずっとこうしたかった。」と僕がいうと舞の顔が近づき、小さく肯定の意思を表した。
僕も深く同じ気持ちを表した。縺れるように絡みながら部屋の奥へと入っていく。
お互いの肌の熱さや息使いを感じ取り、それを沈めるようにベットへと沈み込んでいった。
行為が終わった後、布団を被り抱きしめあっていた。
「舞、好きだよ」
「わたしも」
甘い言葉を囁きながらまた溶けるように抱きしめあっていく。
髪を撫で頬に手を当ててゆっくりと唇を交わらせてる。
「こんな時間がずっと続けばいいのにね」
「そうだね」と答えると舞は幸せそうに笑った。
その姿をみて僕はほんの一瞬だけ表情が固まってしまった。
あわてて笑顔を作って微笑んだ。「どうしたの」と舞に聞かれると、なんでもないといい横を向く。
僕の瞳からは涙が流れていた。舞は何も言わずに抱きしめてくれたが、ぬくもりを感じなかった。
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