第2話 悪行

俺は、人の悪行を見ることができる。

例えば、今向こう側から歩いてくる女子高生、一昨日に文具店でシャープペンシルを万引きしている。

そして、すぐ近くの喫茶店で煙草を吸っている彼は昨日、自分の車の車内で危ない薬を使っている。

さらに、向こうで信号待ちをしているスーツ姿にネクタイを締めた彼は、一週間前に路地裏で人を殺している。

なぜ俺が他人の悪行を見ることができるのか、それは彼らの額に悪行が青い文字で書かれているからだ。

といっても、本当に書かれているわけではない。

そのように俺は見えるのだ。

しかし、本当にこの力が本物なのかは疑問が残る。

でもそれを確かめる術はなかった。


そんな毎日に変化があった。

先日俺が仕事帰りに、コンビニを寄った時の事だ。

レジ店員の額に赤い数字が書かれていた。

その数字は何かのカウントをしているようだった。

それが何を意味しているのか俺はまだわからなかった。


翌朝、テレビのニュースにあの店員が映っていた。

どうやら、銀行強盗を犯したようだ。

ということは、あの赤い数字は悪行を犯すまでのカウントダウンだったということなのか。


それから俺には、青い文字と赤い数字が、見えるようになった。

しかし、俺は善人などではないからそれを見てどうしようとか、言うのではない。

ただ、今まで通り見て見ぬふりをするだけだ。


そして、初めて赤い数字を見てから

一年ほど経った頃。

朝、いつものように洗面所で顔を洗い、タオルで拭きながら鏡を見ると、俺の額に赤い数字が書かれていた。


21:57


何故だ?どういうことだ?

俺は何かしらの悪行を犯すのか?

頭のなかで思案していても、思い当たるはずもなく


56…55…54…


と数字は減っていく。

俺は怖くなり、その日は一歩も家から動けず布団にくるまるしかなかった。


そして、とうとうカウントが0になった。

しかし、何も起きなかった。

なんだ。大丈夫じゃねぇか。と安堵する。

とりあえず、明日は会社で大事な会議がある。

さっさと寝てしまおうと、目を閉じ意識を手放した。


そして、翌朝俺がいつもの様に洗面所で顔を洗い、タオルで拭きながら鏡を見ると、自分の額の文字が青色に変わっていた。

そこに書かれていたのは……











『連続殺人犯』





かけっぱなしのテレビからは今朝起こった猟奇的な犯行が取り上げられている。

そしてなぜか部屋の浴槽からは、耳障りな水の音が聞こえる。

ふらつきながら、たどり着くと一面赤く染まる浴槽。 




……俺は一体なにをしたんだ。

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