第3話

【謎の仮面男に対するスレ】


名無しの探索者421

:一日経ってようやく落ち着いたな


名無しの探索者422

:流れが早すぎてレスバすら出来なかったからな


名無しの探索者423

:あれってCGじゃないの?


名無しの探索者424

:CGにしてはリアル過ぎじゃないか?


名無しの探索者425

:仮に本物だとしたらケロべロスとデュラハンも大したことないな


名無しの探索者426

425

:またエアプが沸いたぞ


名無しの探索者427

425

:お前は横浜事件知らないのか?


名無しの探索者428

425

:知らなそうだから、教えてやるよ。一年前ぐらい前に横浜怜音っていう男がいたんだけど。当時のダンジョン配信者の中では最強だと言われてたが本来は居るはずないイレギュラーに出会って殺されたんだよ。そのイレギュラーが昨日、小石二つで倒されたケロべロスだった。


名無しの探索者429

:一応言っとくが横浜怜音が弱い訳じゃないからな、なんなら数体のAランク魔物を一人で倒せるぐらいには強かったぞ。


名無しの探索者430

:だからこそ、当時殺されたと聞いたときは驚いたな


名無しの探索者431

:だとしたら、あんな簡単に倒した男は何者だよ


名無しの探索者432

:日本にいるランキング常連者も自分達じゃないって昨日SNSで否定してたから本当に謎の人物だわ


名無しの探索者433

:なぁ、何も証拠とかは無いけど一人だけ居るくないか?


名無しの探索者434

:もしかして謎の一位か?


名無しの探索者435

:確かにランキング一位ならデュラハンも素手で倒せる可能性あるな


名無しの探索者436

:なんか、言われてみればそれしか考えられなくなったわ


名無しの探索者437

:名前が「あああああ」とか日本人だとは思ってたけど、ようやくそれらしい人物が現れたな



ネットでは謎の男がランキング一位なんじゃないか、また昨日の映像は作り物だという人、様々な憶測が飛び交っていた。



そんな話題の男は現在、ソファーに寝そべり額に冷えピタを貼ってゲンナリしていた。昨日の黒歴史にダメージ受けてるのも多少はあるが、原因は昨日使った力による代償だった。


「あぁ~しんどすぎ……」


椿さんは大学に行ったため現在、翔は一人で安静にしていた。インフルの酷い時の症状が襲い掛かって来る。


「しんどいけどダンジョンに行かなきゃヤバいんだよなぁ……」


動きたくなさ過ぎて永遠にうわ言を呟く。そんなことを言いながらダンジョンに行かなきゃこれから訪れる症状を考える。三年前から発症した病気みたいなもの、今の症状は第一段階だ、これをほっとくと二段階目になり動悸や幻聴が聞こえてくるようになり、それすら無視したら最後幻覚が見え始め周りの生物が全て魔物に見えて殺せと幻聴や衝動が襲い掛かって来る。


治し方はめんどいが簡単だ、血を飲めば治まる。別に人間の血でもいけるが、それをしたら最後本当に人間を辞める気がするので、症状が出たらダンジョンに入って魔物の血を飲んで治している。自分がやってることが異常なのは理解してるので出来るだけ深い階層に行ってるが、そのせいでレベルがバカみたいに上がってランキングなんかに載ってしまったんだけどな。


「……はぁ行くしかないか」


立ち眩みを耐えながら服を着替え、合鍵で閉めてから出来るだけ早く向かう。ダンジョンに入り、他の探索者にバレないように階層を降りていく。


「よし、このトラップを踏めば80階層に行ける」


現在の場所は65階層、人類でここまで来たのは翔の他にいない。世界で登録されてすらいない魔物が蔓延っている。60階層からは眼帯を外して探索してダンジョンに仕掛けられてる転移トラップをわざと踏み抜く。



「体調悪いし、早く血が飲みたいから手加減無しで行くぞ」


言葉なんて通じない、化け物がわらわら集まって来る。


「おっと、相変わらず見えないし音もないな」


まず初めに襲い掛かってきたのは音も気配もないレイスだった。初めて戦った頃はよく首を切られていたが、今じゃこの階層でも楽に倒せる部類の魔物になってしまった。


「やっぱり攻撃をするときに実態化しちゃうのが弱点だよな」


攻撃の瞬間を狙い片手で掴み、動けなくなったレイスのコアを抜き取り口の中に放り込みかみ砕く。


「相変わらずレイスのコアは薄いな……次はどいつだ?」


漆黒のウルフが集団で囲いながら襲ってくる。


「お前らか」


背中から飛びかかってきたウルフに腕を噛まれるが、何故か金属音が響きウルフの牙が折れていた。


「死ね」


ヤバいと本能的に悟ったウルフは後ずさろうとしたが致命的に遅い。裏拳が顔面に当たると身体全体が弾け飛んだ。返り血を浴びてる翔の額には鬼のような牙が生えていた。


仲間が死んだことで動揺している間に動きウルフを掴み、周りの魔物を巻き込みながら振り回す。その力はとても人間とは思えない。


「あぁ?」


風の刃が周りの魔物ごと切り裂いてくる。右手と左足が切断され、吹き飛ばされた。


「そういえばこの階層にも居るのか」


風の刃が飛んできた場所を睨む、そこには錆びた冠にうす汚れたローブを身に纏ったスケルトンが立っていた。斬り飛ばされたはずなのに半透明の右手と左足が生えてきて元に戻る。


「便利なんだけど、生えてくるところは相変わらず気持ち悪いな……」


再び魔法を発動しようと杖が光りだす。黄金色に輝く瞳でスケルトンのコアを確認してから石蹴りの要領で蹴ると地面が抉れ、寸分違わずコアに辺り砕ける。


「あのリッチ?が他の魔物を殺してくれたおかげで早めに終わったな」


風の刃でバラバラにされた魔物の魔石を抜き取り食べていく。


「これぐらい飲めば三日は持つかな」


額の角や半透明な腕は無くなっていた。返り血や穴が開いた服を脱ぎ、亜空間から出した真新しい服に着替え眼帯を付けてからダンジョンを抜け出す。


ダンジョンに入る前のしんどさが嘘のように無くなり、気分よく岐路につく。


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