第1章 偶像の求心力 幕間 静かな整理

あの二人は、早かれ遅かれこうなる運命だった。

仮に御子柴が「さくら」の中身を暴露しなかったとしても、他の誰かが、いずれ必ず気づいていた。

あれほど歪で、閉じたシステムが、長く持つはずがない。

真希にしても同じだ。

このゲームが存在しなくとも、彼女はどこかで破滅していた。

偶像として生きることを選び、生身を切り捨てた時点で、結末はすでに決まっていた。

だから御子柴の胸に、罪悪感はなかった。

憐憫も、侮蔑も、嘲笑もない。

彼にとって二人の末路は、感情を挟む余地のない「結果」に過ぎなかった。

御子柴はすでに意識を切り替えていた。

関心は、残された五人の参加者へと移っている。

彼らはどういう属性を持ち、

どのような承認欲求を抱え、

どこに破滅の起点を隠しているのか。

御子柴は淡々と、データを洗い直していく。

その部屋の隅で、置き去りにされたスマートフォンが、弱々しく光った。

運営からの通知だった。

次の指示。

次の局面。

この地獄のゲームは、まだ終わらない。

彼女も、そして他の参加者たちも、解放されるつもりはないらしかった。

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虚飾の戴冠 戸谷原夢叶 @naji8810

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