第二章:暗闇の廃都市
第12話 因果ーツミー
――虎真は語る。
そうね、一言で半グレ。
半グレってのは、いわゆる暴力団に属さず犯罪を起こす集団のことよ。
でも、やることなすこと全部、そっちでいうギャング。
流石に銃の密売はなかったみたいだけど、裏では集団での窃盗や暴行、違法な薬の販売や買春・売春斡旋を未成年がやってたんだから末恐ろしいわ。
非行集団ぽいけど、そのほとんどが学校じゃ優等生ばかり。
なまじ頭が回るせいか、暴行や窃盗の動画撮影は一時の享楽だと自らを律して、しないし、させない。
SNSに犯行動画を面白い半分に流す、あるいは流出したら、瞬く間に炎上して身元が特定されるリスクを承知しているからよ。
首謀者だって、学校では品行方正、学年次席と優等生だったのよ?
誰もが家が裕福で、今日の服や食事どころか遊び金に困らない。
ただ共通していたのは、家庭環境が異常に厳しかったこと。
わがままに言うなら、自分が欲しい自由がなかったのが根底かしらね?
門限があるなんて序の口よ?
食事にファストフードはダメ。
異性と手を繋ぐどころか会話すらダメ。
中には結婚するまで異性と一切接触禁止まであるときた。
共学、男女混合クラスでよ?
トイレは一日三回まで。
勉強は累計一日一七時間。
会話は英語のみとか、居場所なんてない。
あれこれ制限されてきた反発と反動が、あのグループという自分たちの自由な居場所を生んだんでしょうね。
そのグループが厄介なのは、学校や警察の弱みを握っていることだったのよ。
誰もが寮住まいの閉鎖環境を敢えて利用して、保護者に把握されず無断外出の夜遊び外遊び。
あの手の親って、成績という結果しか見ないからね。
仮に無断外出がバレたとしても学校側は黙過せざる得ない。
どうしてかって?
あれこれ握られているからよ。
性格が真面目なのを敢えて選んで、仕事上のミスや隠蔽された不正を掴んで揺さぶるの。
恐ろしいのは、この手口はあくまで組織内に入り込む蟻の一穴だってこと。
仕事をしている以上、ミスとか不正は出るものよ?
特に真面目な性格は、その手のミスを隠しちゃうし、何より露見されるのを恐れるから、相手の誘いに乗ってしまう。
もし上にバレたら、減俸どころか解雇になりかねない。
ところが、子供が隠蔽した事実を握っている。
立場的に、口封じに処分できればいいけど、下手すると置き土産で暴露される。
仮に子供が先に脅していた事実が証明されても、子供だから更生の余地ありとして、軽い注意で許される。
逆に大人は許されない。
下手すると、再就職どころか今後の人生に響きかねないリスク。
故に隠蔽の仕方を聞き入れる。
んで、子供は、お礼として、あれこれお目こぼしを頂くってわけ。
便宜を図るうちに、相手側の要求が肥大化して、気づけば共犯者。
ひとり、ふたりと増やして、互いに裏切らないように釘まで刺してるんだから、子供なのに恐れ入るわ。
そうして、仮に仲間が窃盗や暴行を犯したとしても、学校や警察を揺さぶって、うやむやにさせる。
仲間内からすれば、頼りになるから、すり寄る旨味が出てくる訳よ。
逆に身に覚えのない行為を押しつけて、犯人に仕立て上げるとかね。
仕立て上げる対象?
ひとつしかないわよ。
快か、不快か――ただそれだけ。
美鶴ちゃんの場合、クラスも違うし授業でも会わないと縁なんてなかったわ。
貧乏人が学年首席でいるのが気にくわないって理由で、学校から追い出した。
押しつけられた側は、無実を証明したくても元からしてないのだから、証明しようがない。
逆に周囲が雁首揃えて、やったと証言してくるから人生が詰まされる。
もう人心掌握にかけては最悪ね。
反吐とゲロが出るレベル。
弱みを握られていない警察が、しっかり調査したら、内に外にと幅広く弱みを握っているときた。
もう県とか跨いでるから合同捜査よ。
学校警察問わず、懲戒解雇よ?
無実、いえ、この場合、捏造・偽証ね。
嘘と証明されたとしても、一家離散どころか、もうこの世にいない人間だっているから救えない。
あの子は運が良かったわ。
今は全ての事実が捏造とされて、新しい学校で元気にやってるそうよ。
住んでいたアパートだって、新しく建て直しているわ。
昔お世話になった弁護士に頼んで、ふんだくれるものは慰謝料として根こそぎ、ふんだくってもらったの。
ん? 私の弟とその子は結果として無事だったけど、そのグループはどうなったか?
全員捕まった?
普通はニュースになれば相応な騒ぎになるけど、今回は異質すぎて、手に余るのか、あまり報道されてないのよ。
仮に報道されたとしても、あくまで大人側の不正があった、程度だけどね。
そうね、大衆からすれば中身なんて実際どうでもいいのよ。
何かがあった、誰が起こした、程度の認識だし、新しい事が起これば、すぐそっちに心変わりする。
……祖父の時と同じよ。
騒ぐだけ騒げば、次に移るの繰り返し。
結論から言えば、ひとりを除いて全員死んで――いえ殺されたわ。
生きて罰を受けるべきだったわ。
――高校生の子供が、自分より小さいのに殺されるなんて因果すぎるけど。
――――――――――――
始まりました第二章。
展開は、外から内へ、明から闇へと移行します。
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