泣いている少女
以前、私は道の向こうに泣いている少女の姿を見つけたことがある。
前述の通り、うちの玄関は内側から外の様子が確認できる。
そのため、何の気無しに目を遣っただけでも見えてしまうことがあるのだ。駐車している車なり、ちょうど過ぎ去っていく人なりが。
そのときたまたま目に入ったのが、泣いている少女だった。
掃除機をかけていた私はホースを投げ出す勢いでスイッチを切り、衝動のまま玄関を飛び出し彼女に駆け寄ろうとしたが、まずはじっくり様子を見て声を掛けるか決めたほうが良いと思い直し、階段を上がって自室の窓からこっそりと外の様子を窺った。
――――少女の正体はマネキンだった。
誰かの捨てたマネキンが、泣いている少女に見えただけだった。
確認するなり、心の底から安堵した。
泣いている少女などどこにもいなかった。
女性を模ったマネキンは、目にも鮮やかな黄色い布を纏っていた。
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