見知らぬ童


 その日、リビングから自室に引き上げようと廊下を歩いていた私は、異変に気が付いた。


(なにかが、いる。家の外に……いる)


 詳細は割愛するが、うちの玄関は外の様子がわかるつくりになっている。

 さすがに全面ではないが、見える部分を合わせれば結構な面積、向こうの様子がわかるようになっているのだ。

 昼間は太陽の光によって、夜間は街灯や月明かりによって。


 その日も私は玄関を通り過ぎ、廊下を曲がろうとしていた。

 ――が、私の目は玄関扉の向こうに見慣れないモノを捉えた。

 家の外、向かって左側になにか赤いものが広範にわたって見えたのだ。


(………………なんだ、あれは)

 

 初めは目の錯覚かと思った。

 そこから見えるものは、せいぜい塀と庭の木、そして来客があれば来客の姿。その程度だ。

 しかし、庭の木は赤い葉や花をつける植物ではない。

 となると、私に見えているのは普段はそこにないものだということになる。


 普段はないはずのもの――かつ、最も確率が高いのは来客だが、午前0時付近に訪ねてくる知人もなければ、旅の人が訪ねてくるような栄えた場所にある家でもない。


 確かにそれは人の姿をしているように見えた。

 最初に視界に飛び込んできたのは、縦方向に伸びる赤い色。どうやら着物のようだった。

 抱いた印象は『七五三の着物』。

 昔、自分が着せてもらった晴れ着を思い起こさせる色だった。

 ――というのも、その人型はさほど身長が高くないようだった。

 上り框の分を考慮しなければならないため、正確な身長はわからないが、そのときの私にはなぜか『120cmくらいか……?』と具体的な数字が頭に入ってきた。

 そして、その人型は身長が高くないだけではなく、現代人かつ子どもだと仮定しても不自然なほど細身だった。

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