祝いの禿

片喰 一歌

はじめに


 ――――禿を見た。

 ちょうど10年前の誕生日――が終わり、日付が変わろうとしている頃、玄関先に禿が立っていた。

 あるいは日付が変わる30分前ほどか、日付が変わって30分ほどが経過した頃だったか。

 そのあたりは曖昧な記憶しか残っていないのだが、私は確かに禿を見たのだ。

 現代にいるはずのない、禿を。


 実を言うと、そのときの私は(現在もそうだが)ものをよく知らず、禿と呼ばれた人々の存在を知らなかった。

 名前さえ聞いたこともない、姿形など知るはずもないという有様だった。

 そんな私が、目の前に現れた不可解なものを禿だと仮定するに至った経緯については、後述させていただく予定だ。

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