第2話 天才薬剤師 黒羽真墨
嗚呼……怒声が聞こえる……。オマエなんて生まれなければよかったんだ、と。
全部私に言われている。全部私が受け止めている。辛い。苦しい。痛い。やめて……。
そんな叫びも、父には決して届かない、どころか暴力がエスカレートするだけ。
そんな私にも、救世主が現れた。でも、その人は、目の前で車に跳ねられた。真っ赤な鮮血が、大雨のように飛び散る。
真墨は、冷や汗にまみれてベッドから飛び起きた。このところよく、こんな悪夢をみる。
「文さん……、ごめんなさい……。」
彼女は、大粒の涙をこぼしながら、呟いた。
「原因が全くわからない…。」
白鳥貴芦は、悩んでいた。
今日の患者は、小林香菜。中学生の女子だ。
頭痛や腹痛を訴えて、最近何度も来院している。
「先生……娘は治るんでしょうか?」
香菜の母が、涙目で尋ねた。
「それは、今のところ何とも……」
貴芦は、唇を噛んだ。
「ねえ、今度から薬は君が運んでくれない?もう小児科行きたくない。」
奥の部屋から、真墨が出て来た。
「真墨君!どうしたんだ?」
「今のこと伝えにきただけ。今昼休み中でしょ。まだやってるんだ。」
「少し行き詰まってしまってね……。そうだ!君の意見を聞かせてくれ!」
真墨は、一瞬嫌そうな顔をしたが、何かを思い出したような顔に変わった。
「いいよ。ただし、後で私に協力して。」
「おお!ありがたい!」
「あの、白鳥先生……。この女の子が本当に医者なのですか?」
香菜は、顔をしかめて尋ねた。真墨は、やや童顔で小柄なので、よく子供と間違えられる。
「私はただの薬剤師。」と、真墨は不本意そうに呟いた。
真墨は、小林香菜の全身を見つめて数秒後、「わかった」とつぶやいた。
これには、その場にいた全員が目を丸くした。
「小林香菜は、銅中毒だ。」
香菜は、初めて聞く言葉に、困惑している。
「君、短距離走選手でしょ。」
「えっ……何で分かったの?」
香菜は、目をさらに丸くした。
「股関節周りに筋肉がついているから、すぐに分かった。大方、部活動中に、やかんにスポーツドリンクを入れたってとこかな。」
そう、長年水道水を沸かしていたやかんには、水道水中の銅がついている。それが酸性であるスポーツドリンクによって溶け出し、体内に入ると、香菜のような症状が引き起こされるのだ。
続く。
また編集します。
アブノーマル・ドクターズ Hade氏 @Hade
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