第21話「きっっっ」

「よし、探検も終わりだ」

「!フィル」



研究塔を駆け巡る姉妹に話しかけたフィル。

椅子に座っている姉妹達の手元には今までの聖女様の似顔絵が描かれた紙があった。



「フィル見てよ!聖女様って皆女の子なんだね!」

「お、そうだな。まあ聖女様だからな」

「これさ、他の研究員の人から貰ったんだけど聖女様の日記でしょ?英語に中国語、日本語もあった」

「あげてないからな。えい…?そういえば、異世界は色んな言語があるって文献に書いてあったな。読めるやつはあるか?」

「あるよー」



「お菓子も貰った、食べる?」「お姉ちゃん、この日記見て。落書きしてある」きゃっきゃと楽しんでいる姉妹を見てリオはぷくーと頬膨らませた後、ユウの背中にもたれかかった。



「え、何?リオ?」

「別に何でも無いもーん!」

「???」



疑ってばかりいたことに対して素直に謝れないのと罪悪感。それと構ってほしいけど話に入れないもどかしさ。

察したフィルがくすりと笑う。



「読める日記は貸そう。この世界のことを知るきっかけにもなるし、何か分かったことがあったら俺に教えてほしい」

「ん、わかった」



日本語の日記を手に取る。


…スムーズにいっている、筈。今回は、今回で最後にしたい。殺されるのはもう勘弁だ。

今のところ攻略対象への好感度は良い筈。友好的、協力的。

なるべく彼らの要求を受け入れるようにしよう。



「それでな、二人とも。ちょっと頼みたいことがあるんだが」

「何?」



フィルから何故かワクワクとした感情が漏れでている。え、何?と姉はちょっと恐怖した。



「爪もらえないか?」

「きっっっ」

「今きもいって言おうとしたか?」

「はい…」



こ、これも選択肢だったらどうしよう。


しん、と静かになる姉妹。ちら、と姉が妹を盗み見るとチカもうわ…とドン引きしていた。

そしてそんな二人にフィルは追い討ちをかける。



「そうだな…爪と髪と唾液…血液も採取したいな」

「ほんまにきもいんやけど、何に使うん…」

「研究だよ、フィルは研究員だから。いやでもきっも…」



更にドン引きする姉妹とは反してワクワクしているフィル。

えーやだよ…と答えに迷っている姉妹。ここは協力した方がいいのだろうけど、流石に気持ち悪くて答えに迷う。



「嫌か?」

「そりゃまあ…そうですよ」

「じゃあ、皮膚ちょっと採取してもいいか?」

「なんでそれは良いと思ったの?嫌だよ」

「いやいやばかりだなあ」

「腹立つなあ」

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