第20話素直なようで素直じゃない
研究棟の中は大勢の研究員と散らばった書類や書物。フラスコやビーカーに入った謎の液体など、姉妹にはわからない研究をしていた。
姉妹並んで試験管に入った液体を眺める。
「お姉ちゃん、見て。青と紫と黄色の液体がミミズみたいに動いてる」
「え〜、気持ち悪いね」
「ね〜」
「おい、そこの姉妹。貶すのはやめろ」
「「ごめんなさーい」」
「あ!あっちに大きいカプセルみたいなのある!行こ!」「うん!」と駆け足で二人は手を繋いで研究塔を散策していた。
「いいの〜?好き勝手させちゃって」とリオがフィルの顔を覗く。フィルはふう、と疲れをとるように息を吐くと椅子に座って頬杖をついた。ちょっと嬉しそう。
「ああ、好きに見させておくよ。あの二人にとって珍しいものばかりだろうしな」
「見られて困るようなもの、無いの?」
「無いさ。ここは聖女様を研究する場所だ。寧ろ色々見て聖女様について知っていってほしいさ」
「ふうん…」
「リオ」
名前を呼ばれてリオは視線を駆ける姉妹からフィルに移す。
「なーに」
「俺は二人のどちらかが聖女様だと思っている」
「…。アレンは二人は自分が聖女様なのかどうかすらわかってないって言ってた」
「そうだろうな、あの二人を見たら俺もそう思うな。城の敷地にか弱い女の子二人が侵入できるはずもなければあの聖女様を召喚させる部屋に入ることもできない」
「…」
「なら、正しく召喚されたと思うのが正解だな。何故今回は二人なのか分からないが」
「二人が聖女様の可能性は?」
「ないな」
言い切るフィルにリオは返事はしなかった。
「聖女様はこの世界でたった一人だ。今まで、一人だけでは重荷だろうともう一人召喚しようとしたことは何度かあるが、一度も成功していない。聖女様の枠は一人しかないんだ」
「…嘘をついてる自覚もなく、聖女様の自覚もなく召喚されたってこと?」
「そういう事。ちょっと心の蟠りは取れたか?」
「うっ」
にや、とフィルは悪戯っ子のように微笑む。図星だったのかリオは言葉を濁す。
小さくなるリオはテーブルに隠れて、目元だけだした。ちょっと拗ねた子供のようだった。
「ちょっとだけ…」
「あはは、お前はほんと素直のようで素直じゃないな」
「煩いなあ〜」
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