第19話無駄死にはしてない
目の前には白いレンガの建物が聳え立っている。研究棟だ。
何の研究しているのかと聞いたら聖女様の研究らしい。聖女様の部屋があった塔とはまた別の塔でこの塔全て研究室。
この世界は聖女様がいなくなったら新しい聖女様を召喚する。
聖女様がどこからやってくるのか、何故傷を癒せるのか、とか諸々研究してるらしい。
「フィルは聖女様の研究してる研究員なの」
こっそりと妹が教えてくれる。うん、知ってる、と姉はへえーと相槌を打つ。
ここまで来る廊下で姉妹はすれ違う研究員に奇異の目で見られていた。きっと聖女様が二人召喚されたことは周知されているのだろう。
彼の瞳には研究したい、調べたいと言った感情が込められていて居心地は良くなかった。
あ、と思い出してユウは前にいたリオに話しかけた。
「ていうか、アレンとえーっと、デイルだっけ。放っておいてよかったの?」
「ん?いいよいいよ!いつものことだしね〜!」
「(いつものことなんだ…)そう言うなら、まいっか。チカは大丈夫?具合悪くなっとらん?」
「…る」
「ん?」
ぽつりと呟いた妹に姉はお?なんか言ったと良く聞こえるように耳に手を添える。
きらきら…と妹の目が輝く。
「はぁあああ〜!もうちょっとで推しに会える〜!!楽しみすぎ〜!」
「おいちょっと待てこら」
「何?今幸せを噛み締めてるところだから黙ってくれん」
「何や。お前このゲームやってたんか?」
「最初の方だけね。推しが出てくるところまで」
あ!?なんか前回そんなこと言ってたような…!!すっかり忘れてた。
てかこれ乙女ゲーマスターの妹に聞けば死なずに済んだのでは!?姉、無駄死にしたかもしれん。
姉は妹の肩を掴むといい声で言った。
「この後どうなるん?お姉ちゃんを助けると思って教えてくれん?」
「え、きも。知らんよ」
「は?」
「だって元のシナリオの話と違うし。まあ大筋はあってそうではあるけど、そもそも牢屋にぶち込まれんし」
「あ、ああ〜」
そうやったあ〜…と姉は脱力した。でも聞いておいて損はないな…。と聞こうとすればフィルに話しかけられた。
「おーい、研究塔に入るぞ。外にいたら瓦礫が落ちてくるかもしれないからな」
「あの二人はいつまで喧嘩してるの?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます