第15話簡単には変わらない

「ここが君たちの部屋だよ」



結局、前回とはあまり変わりがないように思える。

あの後、王様に報告した結果姉妹二人の判断を保留となった。どちらか聖女かもしれない、どちらも聖女ではないかもしれない、そんな曖昧且つ不確実な答えでとりあえず二人な監視されることになった。


廊下ですれ違った侍女たちにお辞儀され、心なしか安心した。


ドアを開けるアレンについていこうとすると後ろから聞き覚えのある声がした。



「聖女様ーー!!」



リオだ!とユウは振り向いてはっとして避けようとしたが、そのまま飛びつかれて後頭部をドアに殴打した。



「ぎゃっ、」

「お姉ちゃん!」



運命を変えようと思っても簡単にはいかないのかもしれない…。





「紅茶をどうぞ」

「ありがとう」



聖女様の部屋は前回と変わりなく、たくさんの洋菓子が並べられていた。クッキー、マドレーヌ、マカロン。

ソファに座って前回は飲まなかった紅茶を飲むと、アレンはにこりと微笑んだ。それがちょっとわざとらしくて姉は眉を顰めた。



「…何?」

「いや〜、ユウが友好的でよかったなと」

「?それはどういう…」

「その紅茶に自白剤入れたんだ」

「ぶっ、!」



思わず吹き出してしまった。「冗談だよ」とアレンはけろっとしている。

こ、こいつ嫌い…!!とわなわなさせている姉。



「まあ、入れてもよかったんだけどね。その方が手っ取り早いし」

「…しなかった理由は?」

「さっきも言ったけど、ユウが友好的だからだよ」

「もし私が少しでも疑わしい態度取っていれば入れてたんだ」

「うん」



ということは前回入れていた可能性があるな、と考える姉。


前回よりは少なからず攻略対象やモブキャラであろう侍女の態度が明るい。選択肢は合っていると考えていいだろう。



「少し気にかかるところはあるけど及第点かな。俺は君たち姉妹のことを信じようと思っているよ」

「それは助かるよ。チカも良かっ…」



隣に座っている妹がずっと黙っているので話を振る。すると微かに妹の顔が暗く青くなっている。具合が悪そうだ。

姉は心配そうに妹の肩を支える。



「チカ、大丈夫?少し休もか」

「だ、大丈夫…」

「どうしたの?チカちゃん」

「具合悪い〜?」



アレンもリオも声をかける。

緊張で疲れが出てしまったのだろう。元々体が弱い妹は体力の限界だったようだ。



「ベッドいこう、横になろ」

「い、嫌や…」

「なして?横になった方がええやろ」

「こ、攻略対象の前で寝たくない…」

「何言っとるんや、このオタク」



この状況で。

「とりあえず薬を…」と声に出したものの、そうだった、鞄がなかった。

やはり寝かしておいた方がいいと判断して男二人に話しかける。



「妹寝かせるから部屋から出て行って」



しっしと手を振る姉に、二人は顔を見合わせる。



「えー、でも二人のこと監視しなくちゃいけないしねー、ねえ、アレン」

「そうだね…俺たちも残っちゃダメなの?」

「思春期の女の子が男子の前で寝られるわけないでしょー、行った行った」

「えー」

「ユウも思春期でしょ?」



と、二人を閉め出す。はあ、と思わずため息をはく。ドアの向こうでリオが「逃げちゃダメだからねー!約束だからねー!」なんて言う。…煩いなあ。



「…逃げたら殺すくせにさ」



ここも選択肢なのだろう。

結局は前回と展開が変わらないように思える。




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