第7話 秘密の楽しみ
夜。僕が寝静まって妹も寝静まったはずの時間に起きる。
そろりそろりと足音を立てずに歩き、両親の部屋の前へ。扉をゆっくりと開けて中の様子を窺うと、すでに始まっていた。
父さんと母さんは三人目の子供を作ってる最中だった。覗き見はこの数年ですっかり習慣になっていた。
「お、やってるやってる」
そこにリザもやってくる。二人で見るところまで習慣だ。
「相変わらずすごいねー」
「他を知らないのですが、そういうものですか」
「まあね。やっぱり鍛えてると違うって感じ」
「リザお姉さんはそっちの方が好みなんですか?」
「いやほら、私は可愛い子が好きだから、たまにこうやって見るのがいいぐらい、かな?」
あけすけな会話を二人でする。完全に猥談だがリザはそのへんの倫理観がどっか行ってるタイプのようで、こうして付き合ってくれる。こちらとしては願ったりかなったりだ。
「そのわりに僕にはそこまで手を出しませんよね」
「そりゃあ居候先の御曹司に手を出すわけには、ね……こんなことはしちゃってるけど」
話している僕らはリザが後ろから僕を抱える形で密着している。視線の先には卑猥な行為があるのだから、誰かに見つかったら言い訳のしようがない。
ここまでなっててリザから何かされたりは、ない。残念である。実際に何かされたりすると問題になるので困るのだが、それでも残念である。
「まー僕はどっちでもいいんですけどねー」
「マセガキめー。修行が終わって、もうちょっと大きくなったらねー」
胸元に抱きかかえながらリザが撫でてくれる。今はこれでよしとするか。
「そこまで言うんだから、大きくなったら私をお嫁さんにもらってよ。リディがもらってくれたら、私もお金持ちだー」
「邪ですねぇ。考えてあげてもいいですけど」
「うわ、えらそー」
両親の行為が激しくなるにつれて、二人の口数が減る。後ろでリザが身体をもぞもぞとさせ始める。
「リザお姉さん?」
「いや、流石に何もしてないって。ただやっぱ見てると、こう、ね!」
ぎゅっと力強く抱きしめてくる。手持ち無沙汰と言うべきかなんなのか、ともかくしょうがない人だ。
辛抱たまらないのはこっちも同じだというのに! そっとリザの胸に手を伸ばしてみると。
「だめだめだめ。胸揉ませるだけじゃすまないからだめって、いつも言ってるでしょ」
「けちー」
「けちじゃないから問題なんだってば」
手を払われて怒られて(?)しまう。
そうこうしている間に両親の一回戦が終了。小休止に入ったところで、僕の口から欠伸が出る。
子供の身体は夜ふかしに強くない。
「そろそろ寝よっか」
「む。そう言って自分だけ続きを見ようという魂胆では」
「ひとりで覗き見はそれはそれでやばいからしないってば。さ、戻ろ」
リザに手を引かれて自室へ戻る。今夜のお楽しみはここまでだ。
こんな日常がいつまでも続いてくれれば嬉しかったのだが、そうもいかないのが現実らしい。
そう、もうすぐリザから卒業のための試験が与えられる日だ。
――そこから、僕の本当の人生が始まることになる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます