第12話 邂逅2
当時、世の中は景気が良く200海里制限もされていない時代、漁業関連事業も盛況、
日本中で公共事業が始まりベビーブームの流れで団地がたくさん建設されたり
カラーテレビが普及し始めたりイベントなども連続で開催され社会全体が浮かれ気味の世の中でした。
「これが当時、民谷くんと撮った写真です」
学校の美術室らしい場所で若き日の西条先生と民谷先生が笑っていました。
「最近、気がついたのですが、この窓のところに人の顔が写っています」
私は興味深く見てみると確かに先生が差す指の先にある窓のところに明らかな人の顔がありました。
「ホントだ、これは完璧に人の顔ですね、はい尾形君」
写真を渡します。
「おーハッキリ」
そして西条先生が民谷先生から聞いた話を私たちに教えてくださいました。
その頃から民谷先生は趣味で、あの川沿い一帯の土地について調べ始めていました。
きっかけは学校が休みの日に離れた場所にある、お城の見学に行って今も面影がある通りを歩いて城下町を想像しながら、ぶらぶらと散策していたのだそうです。
すると一本の川に、ぶち当たりました。
川っペリには草が生え放題の横幅15メートル長さ400メートル程の土地があり、
当時まだ未舗装の車道があって向かい側に歩道と住宅地が広がっていました。
その川沿いの通りを歩道添いに歩き進むと歩行者を邪魔するかのような不自然に立つ大きな柳の木があって木の足元にお地蔵様が祀られた小屋に近いような祠がありました。
昼間でも薄暗く感じる柳の木周辺の写真を民谷先生は自慢のライカ・カメラで撮影していると、
すぐそばに
『○○宗
入りました。
失礼かとは思いながら民谷先生は、その無乗庵の敷地に入っていき
玄関を開けようとしましたが
鍵が掛かっており誰もいない様子で周辺の写真を撮って庵を後にしたのだそうです。
「残念ですが民谷くんが撮った、その写真は、もう残っておりません」
民谷先生は、もう一度、歩道に戻ってお地蔵さまの
大小様々な、お地蔵さまがいらっしゃって頭巾やよだれかけなども着用しており何やら、
お経の書かれたタスキを掛けていらっしゃるのも見られたそうです。
興味深く拝見しているあいだも、そこの道を歩く者は誰もおらず、その周辺一帯だけが世の中から隔てられた場所だということに民谷先生は気がついたそうです。
なぜ、こんなに淋しい感じなのか改めて周囲を見てみると空き地が目立ち民家も平屋の一軒家や長屋がポツリポツリ建っているだけでした。
当時そこから徒歩15分のところには大きなデパートが建っており追随するように周辺には商業ビル施設が集まって大変賑わっているというのに、やはり川沿い一帯は開発もされずに静かな原野のままでした。
興味を持った民谷先生は無乗庵の管理者であろう、
お寺に連絡をして
高校教師であり授業の一環で郷土史を調べているので是非、ご協力頂けないかと申し出て色々と伺ったのだそうです。
その頃、西条先生は子育ても忙しくなっており家族サービスもせねばならず民谷先生がそういう調査をしていることは、ほとんど知らされていなかったのだそうです。
学校で顔を合わせても
「今度ゆっくり話す」と言ってプライベートも忙しそうでした。
西条先生は後に知ったのですが、その頃、民谷先生の実家は干し海産物と酒を販売している会社をされていたのだそうですが
身内の方々が次々に倒れて亡くなり病人も出て大変なことになっていたそうです。
学校では皆に知らせないで欲しいと伝えていたそうですが、
さすがに学校を休んでばかりいたので
西条先生にだけは真実を伝えに、
ある日、民谷先生はやってきたのだそうです。
話によると無乗庵では、あの土地一体の供養を昔からずっと続けているのだそうで歴史は、かるく幕末時代まで
そこは市役所も把握している街で一番の
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