第11話 邂逅1
「さて、あなた方の調査は、どこまで進みましたか」
「はい、まだ地図を
『郷土史・
「そうですか、それは貴方達にとっては大変良いところに、いらっしゃっていると思いますよ、ははは、
しかし何ですな時代の進歩、地図もこんなに簡単に写真で撮りさえすれば良いのですなぁ・・・
私も息子や孫にスマホンの一つも教えてもらわなければなりませんねぇ・・・」
サイコパス尾形君が余計な発言をしました。
「先生、スマホンじゃなくてスマホと呼ぶんですよ」
私は焦りました。
「こらっスマホンだって間違いじゃないよ、ねぇ西条先生」
「はは漫才みたいですな、あなた方、ははは、ところで尾形さん、その顔一体何があったんですか・・・」
生傷とまだ少しパンダ顔のO君です。
「あ、これは・・チョット貧血で倒れまして」
「元々そのような体質でらっしゃるのですか?」
「いいえ」
「いや随分昔になりますが、あの土地を調べていた友人が、やっぱりそんな顔で過ごしていた時が、ありましたよ・・・」
西条先生は順を追って話を始めてくださいました。
若き日の先生は将来、大学の教授になるのが夢だったそうです。
「ところが東京の大学に通うほどの学力も財もありませんでなぁ、そんな矢先、若気の
「ひょっとして、それが今の奥様でらっしゃいますか?」
「ははは、お恥ずかしい・・・」
一人娘の奥様の家に婿養子となって入籍し流れもあって高校の教師になられたのだそうです。
私のようなダメ人間と違って羨ましい話です。
そして当時の学校の同僚に美術を教えていた
民谷先生は趣味で
彼に妖怪のことや柳田国男の民俗学考察・泉鏡花・内田百間・岡本綺堂・ラフカディオハーンの文芸作品を勧められて、
すっかり影響を受けてしまったのだそうです。
そして、あのアパートのある土地について最初に色々聞き込んで調べだしたのは
その民谷先生が最初だったのだそうです。
1969年 西条先生は高校の教師になって同時期に民谷先生も就任。
同期ということだけでなく馬が合った二人は急速に親しくなっていき
西条先生が結婚されてからも民谷先生は良く家には出入りしていて、まるで家族の一員のように、お付き合いされていたのだそうです。
「おーい、こんにちわぁー」
「あら、いらっしゃいませ、主人が、お待ちかねですよ」
「あはは、これ奥さん」
「まぁ立派な鮭、いいんですかあ?お菓子まで・・・」
「はい今晩これで焼き魚や、お握り、お願いできますか?」
「あら、泊まっていくつもりですね、もう・・・」
「はぁ、いつもすいません、お二人の邪魔をしまして、ただ、これでもマダ遠慮している方ですがね」
「まぁ!あはははは」
「いや、ははははは」
「おーい何やってるー?早く上がれータミヤぁー」
西条先生は懐かしそうに話します。
「なんて感じでね、もう昔の事ですが・・・」
民谷先生は流石に日曜日などは遠慮していたようですが週末や学校が休みの時は子供達みんなも含めて一緒に出かけたり、
お互いどちらかの家にこもって酒を飲みながら新しく入手した怪談物の本について語り合ったりして過ごしたそうです。
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