峰岸(部長)編 ④ 横領疑惑を晴らせ!

 由々しき事態だ。

 俺は帰ろうとしている和戸さんを廊下で追った。


「メガネくんが俺を横領犯にしようとしているんだ」

「当たり前じゃないですか。まるで自分が犠牲者かのようにいうんですね」


 さらっと和戸さんはいう。


「違う、これを見てもらおう」


「なんです、この読む前から眠くなりそうな分厚い本は」


「高校部活動運営要項、部活動費使用に関する注意事項(改訂第七版)だ」


「部長、つまり? 要約してください」


「部費を使い健全に活動し、部員が飲食するのは部活動の一環、なんら問題はない。メガネくんの誤解を解くべきだ。一緒に彼を追うぞ」


「待ってください。飲食していたのは部長だけです。つまり誤解じゃなくて事実ですよね? むしろ、なんで私まで? 行くなら部長一人でいいじゃないですか。早く帰りたいんですよ」


 ぐっ、手痛いことを。


「部長命令だ」


「こんな時だけ部長づらやめてもらえませんか? 横領犯の片棒を担ぐ気なんてありません帰ります」


 命令も聞かない……いつもだけど。

 なかなか和戸さんは手ごわい……。


「お、俺が悪かった!」


 そうして、廊下で叫ぶと和戸さんの足がぴたりと止まった。


「悪かったと思ってるんだ。これから、ちゃんとする! だから、だから一緒に……」

「部長……本当に悪いと思ってるんですか?」

「当たり前だろ」


 なんてことだ、まるで俺が悪人のような言いわけを……。どよどよと周りギャラリーが興味津々に俺たちを見ている……。


「仕方がありませんね……そこまで部長がいうなら」


 和戸さんは俺に向き合う。

 そこで、ぐいと腕を引いて和戸さんを連れ出した。

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