『コンビニ男の謎』 問題編
作子は、駅の改札口で胸を躍らせて解男を待っていた。珍しくピンクのワンピースに身を包んでいる。
今日は、解男とディズニーランドに行く約束をしていた。
しばらくして解男が駆け寄ってきた。服装はいつもと変わらず、ポロシャツにシーパンという出で立ちである。
作子を見るなり解男が言った。
「今日は珍しく可愛い格好しているね。すごく似合ってるよ」
作子は思わず微笑んだ。
「へへ、ありがとう。服が似合うように、筋トレ休んだんだ」
我慢のストレスも、解男の一言ですっかりなくなった。
「そうだよ、たまには筋肉を休めないと、悲鳴上げちゃうぜ」
「その辺は大丈夫、うまく対話してるから」
作子のカバンからは、愛用しているハンドクリッパーが覗いている。こればっかりは手放せないとのこと。
解男としては、別に文句はないけど、手をつないだ時に自分が守られているように感じるのが情けなかった。
「そんなことより早くディズニー行こうよ!」
作子が無造作に解男の手をひっぱって、あやうく解男の肩が抜けそうになる。
「急に手を引っ張るなよ! 俺の体は結構華奢なんだから」
聞こえてないのか作子は、ずいずいと解男の手を引いて、駅に入っていった。
電車の中は、休日だというのに意外と空いており、二人はボックス席に座ってコーラを飲んで、ポテトチップスを食べた。
「そういえばさ、この前また変なことがあってね」
作子が言った。
「おっ、いいね。作子の変な話は面白いから、結構好きなんだよ。今度はどんな話?」
「この前ね、夜の11時位にお菓子を買おうと思って、家の近くのコンビニに行ったのよ」
「うん」
「空いてるコンビニに、一人会社員ふうの男の人がいてね、ちょうどレジでお会計をしていたの。私はお菓子の棚で迷ってたから、全然その人に注目してなかったけど、ちらっとみると、どうやら買ったばかりの商品を、店を出る前にビニール破って開けてるみたいなんだよね」
「普通、店の中では開けないけどな。何かすぐに確認したいことでもあったのかな? ちなみに、その男の人は何を買ってたの?」
「それが、はっきりとは見えなかったんだけど、何か小さい紙の箱みたいなものを開けてた気がするの。お菓子でいうと、ポッキーみたいなやつかな? タバコよりは少し大きかった気がするけど、覚えてないの」
解男はコーラを一口飲んで言った。
「お菓子とか買って、歩きながら食べるためにすぐに開けちゃう人もたまにいるよな。でも、別にそれってそんなに変なことかな?」
「違うのよ。変なのはその後なの。その男の人が、その開けたばかりの商品の中身を、コンビニのすぐ外にあるゴミ箱にガラガラと全部捨てたのよ。ついでにその箱まで。変だと思わない?」
「それは、変だね。でも、もしかしたら間違って別のものを買ってしまって、それで、邪魔だからすぐ捨てたとかは?」
「いや、それがね、実はすぐその何日か後に、同じように夜にコンビニに行って、またその男の人がいたんだけど、同じように買ったばかりのものを、店内で開けて外で捨てたの。二回も間違えたりするかな?」
「その時は、買ったものは何だったかみれた?」
「うっかり見忘れちゃったのよ」
「ゴミ箱は漁ってみた?」
「そんなことするわけないでしょ」
電車の窓からは、海が見え始めた。天気が良く、海は日の光を浴びて輝いている。舞浜まであと少しである。
「そうか、買った商品が分からないと何とも言えないけど、ディズニーに着くまでにある程度考えたいな。でないとディズニーに集中できん」
「うん、解男くん、頑張って!」
そうやって、お願いする作子の姿が、窓の外に広がっている輝く海よりもずっと輝いて見えた。
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