第4話 呪いを解く鍵
彼女の肌はまだ温かい。脈も規則的で、息もある。苦しげな様子はない。12人目の魔女が『死』を『眠り』にすり替えたというのは本当のようだ。
『時が来れば、運命の人が現れて口づけによって目を覚ますでしょう』
この言葉が、事実かどうかは分からない。アルベールも父親から聞かされた話だ。正式にブランローズの護衛となる際、彼女にかけられた呪いについて説明を受けた。
国王の信任厚き護衛だったという父親は、彼女が生まれた日の祝宴にも出席していた。そこでおぞましい呪いが彼女に注がれる瞬間を目の当たりにしたのだ。父親の話した内容に偽りはないと信じたいが、時の流れというものがある。無意識に記憶が改変されていた場合、彼女を目覚めさせる
そもそも記憶通りであったとして、彼がその存在たり得るのか。
目覚めるか、死に等しい眠りに沈み続けるか。
――――賭けるしかない。
意を決した。アルベールは眠れる彼女を見つめる。
この
甘い、花の香り。彼女の美しさがもたらす幻想の
唇を離した。彼女が大きく息を吸い込む。
ゆっくりと開かれた藍色の瞳に、光が灯った。
「……アルベール?」
「ブランローズ様。勝手に寝ないでくださいよ」
安堵のあまり、ついあまのじゃくな憎まれ口を叩く。
「なっ! そんなこと、あり得るわけが……!」
すぐ傍では13人目の魔女が血相を変えて現実を否定していた。呪いが
魔女の驚愕に乗じてアルベールは素早く
力加減をかなぐり捨てた渾身の一発に、今度は魔女が倒れた。
**・***・***・**
ブランローズが護衛を伴って13人目の魔女の屋敷に殴り込み、見事呪いを解除させたという知らせは
「解呪とはどのように」
「13人目の魔女を担いでお運びになられていたが、どんな死闘が!?」
事の
13人目の魔女は地下牢にて厳重な警戒の下、囚われている。この15年の間に12人の魔女たちが開発した、あらゆる魔法を無効化する素材を組み込んだ牢は、さしもの13人目の魔女も脱獄が難しい。完全に魔法の行使を封じ切れたわけではないものの、地下牢に繋がれている間は力が半減されるので、12人の魔女が充分対抗できるのだとか。しかしながら元を辿れば王室の不手際であるため、極刑などは
それよりも肝心なのが。
「ようやく私の婚約がまとまりそうなのよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます