第3話 13人目の魔女
玄関広間を探検して見つけた
見えたのは木箱に入れられようとしている糸車。それを持つ黒髪の毒々しい美女。陶器めいた、およそ人間味のない白い
13人目の魔女だ。確信した。
「うぉりゃあああああ!!」
「いやあああああああ!!」
ブランローズはアルベールの剣を勝手に引き抜いて魔女に投げ飛ばした。完璧な直線運動を持って突進した切っ先は魔女の頬すれすれを
「ここで会ったが100年目よ。13人目の魔女!!」
「15年目です。ブランローズ様」
「お前はあの時の赤子! な、なんであたしの居場所を……!?」
「ふん。そんなの、他の12人の魔女に聞けば一発だったわ。貴方の年齢、生年月日、出生地、好きな食べ物、一度行ってみたい観光地……貴方の個人情報はだだ漏れよ!!」
「魔女ネットワーク怖い!」
指を突きつけ踏ん
「私にあんな呪いをかけておいてタダで済むと思わないことね。一発殴らせなさい。そして呪いを解きなさい」
「淑女のセリフではないと思います。ブランローズ様」
「いちいちうるさいわねアルベール。黙ってなさい」
「まあ確かに俺の剣を断りもなく抜いて投げるような女性が淑女なわけないですね」
「お黙りっつってんの!」
淑女の皮を
「ブランローズ様!!」
アルベールが身を
「ブランローズ様ぁぁあああ!!」
ブランローズの意識はぷつりと途切れた。
**・***・***・**
「ブランローズ様……ブランローズ様……っ!!」
アルベールが力なく倒れ伏す身体を抱き起こし、必死の形相で揺する。だが伏せられた長い睫毛は、その奥の色彩を一切映し出そうとはしてくれない。
「無理よ。あたしの呪いは絶対。他の魔女どもがどんな魔法をかけようと、運命は変えられないのよ」
膝をつき、女主人の名をひたすら叫び続けるだけの無様な姿を見下ろして、13人目の魔女は高笑いする。
「あっはははははっ! そろいもそろって愚かだねえ! 呪いを解くためにはるばるここまで来て? で、結局呪いにやられた。ははは! 馬鹿馬鹿しすぎて芝居にもならないわ」
ひとしきり笑って、魔女は冷徹な顔つきになる。
「で、どうする? お前も
ブランローズを抱き締めたまま、アルベールは魔女を睨み上げた。常人であればその場でへたり込み、戦意を喪失するほどの凄まじい
「……お前、よく見ると綺麗な顔立ちをしているね。飽きるまで飼ってあげようか? お姫様を死なせてお前だけ帰ってきても、処刑されるだけだものね。それならあたしの屋敷で匿われた方が長生きできるよ。多少はね」
「願い下げだ……!」
「ふぅん? じゃあ今ここで死んでも構わないね? だって戻っても死ぬんだもの」
「…………っ」
真っ赤に塗りたくられた唇が、アルベールの目の前で吊り上がる。彼は歯を食い縛った。罵倒したかったが、火に油を注ぐのは目に見えている。それよりも、少しでも命が
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます