第2話 根性で治せると思ってた
正直に言うと、最初は根性で治せると思っていた。
気合が足りないだけだ。
休めば戻る。
自分はまだ動ける側の人間だと、どこかで信じていた。
でも、それは幻想だった。
うつ病は、精神論でどうにかなるものではない。
自分の体験として、これは脳の病気だとはっきり分かった。
発症前、いま思えば過活動期だった。
眠らなくても動けてしまう。
疲労を無視してでも、身体は前に進んでいた。
その反動のように、急性期がやってきた。
考えようとしても思考が止まり、
選択する力そのものが失われた。
回復期に入ってからも、
根性論は何度も顔を出した。
「今日はできたんだから、明日もできるはずだ」と。
けれど現実は違った。
昨日できたことが、今日はできない。
自分はこの一年間、12時間から14時間眠り続けている。
それでも足りない日がある。
この睡眠は逃げではない。
壊れた脳が、修復のために時間を要求している。
そう理解したとき、ようやく自分を責めるのをやめられた。
維持期、あるいは寛解と呼ばれる段階は、
「元の自分に戻る」ことではない。
無理をしなければ、生きられる自分に落ち着いていくことだ。
状態が不安定すぎて、
明日の自分がどうなるか分からない。
だから自然と、
「いつか」ではなく「今日」を生きるようになった。
皮肉なことに、
根性を手放したことで、
今という時間だけが、はっきりと見えるようになった。
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