第3話 腕相撲
部活の声が響く夕方。
空き教室の机を囲んで、ギャル三人がわいわい騒いでいた。
「はいコータくん、腕相撲やろーぜ!」
リナが机をパンと叩く。
「え? なんで急に……」
康太は机から少し距離を取る。
「いやさ〜、前から思ってたんだけどさ」
マイがニヤッと笑いながら康太の細い腕を指差す。
「コータの腕って細すぎじゃない? どれだけ弱いのか気になるんだよね〜」
「弱いとか言わないでくださいっ!」
するとサラが椅子を引き寄せ、「ほら座って。手貸して?」と康太の手首を軽くつまんで机に誘導した。
力では敵わず、そのまま座らされる康太。
「じゃ、第一試合はリナねー」
「よっしゃ!」
リナがドン、と肘をつき構える。
腕は太く、明らかに康太より力が強そう。
康太も仕方なく手を重ねる。
その瞬間、リナが笑う。
「ちっさ! 手ちっさ! かわい〜!」
「手は関係ないですから!」
サラが横から「はーい、位置合わせた?」と言ってスタートを宣言。
「じゃ、いくよ。3……2……1――スタート!」
バンッ!
開始と同時に一瞬で康太の腕は机に倒された。
「は、早っ!!」
「今の0.2秒? 動画撮っとけばよかった〜」
康太は呆然としたまま、リナは片手で髪をかき上げ余裕の笑み。
「コータさぁ……弱すぎじゃない?」
「いや、これは…その……反応が…」
言い訳をしようとすると、今度はマイが前のめりに。
「はい次うちね! コータ、ちょっとは粘ってよ〜?」
「む、無理ですってば!」
しかし押し切られる。
マイの手は温かくて大きい。
組んだ瞬間、康太の手がすっぽり収まってしまう。
「はい、スタート!」
ガタン!
また一瞬。
教室にギャルたちの笑い声が響く。
「かわいすぎる〜!」
「コータ反応速度で負けてんの草」
「てか本気で勝てると思ってた?」
「思ってないですよ! でもちょっとは…!」
最後はサラが挑戦に来る。
他の二人以上に力が強い。
「じゃ、いきます」
落ち着いた声。
康太は構えるが――
サラは開始直前にニコッと笑い、「がんばれ、コータ」と軽く親指を合わせてきた。
その優しさに逆に緊張し、スタートと同時に――
スッ……バタン。
力ですらなかった。
無抵抗のまま静かに倒された。
「……はい、全敗っと」
サラが手を離し、三人が一斉に康太の頭をぽんぽん撫でる。
「よしよし、弱いなりにがんばった〜♡」
「めっちゃ可愛かったからOK」
「また鍛えよっか? うちらがコータのトレーナーになったげる!」
「や、やめてください!!」
康太は耳まで真っ赤になって俯いたが、どこかまんざらでもないように見えた。
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