第2話 僕とアニメショップ
店に入ると、ギャルたちの存在感がすごい。康太だけまるで“付き添いの弟”。
康太が目当ての棚に向かい、つぶやく。
「えっと…あれ、上の段にある…」
一番上。康太の身長では到底届かない。
すると、マイが即行で手を伸ばす。
スッと取って、康太の目の前に差し出した。
「はい。どーぞコータくん」
「ありがとう…ございます…」
礼を言ったものの、内心は複雑。
自分の届かないものを簡単に取られるのが、ちょっと悔しい。
その表情を見逃さないのがギャルの怖いところ。
「ん? 今の顔、ちょい恥ずかしがってた?」
リナがニヤリ。
「ち、違います!」
「じゃあさ、もっと恥ずかしくしよっか」
「えっ?」
気づいた時にはサラが後ろから腰の横あたりを軽く支え、ひょいっと持ち上げた。
ほんの少しだけ。視界が10cmほど高くなる。
「わっ!! ちょ、まっ、やめ――!!」
「ほらコータ、上の棚の気分どお? 届く?」
「軽っ。コータ持ち上げやすい〜」
「や、やめてくださいっ!おろしてっ!」
康太は全力で手足をバタつかせ、
店員と数名の客が「何あれ…かわいい…」と見守る。
サラはすぐにおろしてくれたが、
康太の顔は真っ赤だった。
「もうっ…! ほんとやめてください!」
「はいはい、怒らない怒らない。でもコータ赤くなるの早すぎて、からかい甲斐あるんだよね〜」
「そりゃ持ち上げられたら赤くなりますよ!!」
三人のギャルはケラケラ笑い、康太はその中心で、どこか嬉しそうにしながら恥ずかしがっていた。
アニメショップに寄った後のギャル三人は、今日も買い物袋やスクールバッグで大荷物だった。
「ねぇコータ、ちょっとだけ持ってよ〜。三つぐらい」
リナが当然のように袋を差し出す。
「ちょ、ちょっとって量じゃないんですけど!?」
マイもすかさず追加する。
「まあまあ、コータ力弱いんだし練習になるって~♡」
結局、康太の両手は荷物でいっぱい。
腕は細く、持つだけでプルプル震えている。
「だ、大丈夫…です……」
無理して言うけど、明らかに限界。
歩き出して数分後。
「コータ、歩幅あってないよー?」
「めちゃくちゃプルプルしてるんだけど!」
三人が後ろから覗き込む。
「……む、無理です!!」
康太はとうとう足を止めて、膝を曲げてしまった。
荷物の重さで腕がぷるぷる震え、顔も真っ赤。
「ほらね、言わんこっちゃない〜」
マイが呆れたように笑う。
「しょうがないなぁ、ほんとに弱々なんだから」
サラが荷物を一気に取り戻す。
片手で軽々。
その瞬間
「はい、ついでにコータも運搬ね」
「えっ?」
マイが康太の脇の下に手を入れ、ひょいっと“小脇に抱える”ように持ち上げた。
あまりに自然で、康太は声も出ない。
「ちょ、ちょっと!? お、降ろして……!」
「暴れない暴れない、落としたら危ないでしょ?」
笑顔で抱えたまま歩くマイ。
その横でリナとサラがゲラゲラ笑う。
「サラの小脇コータ、安定感すご〜!」
「てかめっちゃ軽いじゃん。片手でいけそうじゃない?」
「片手は無理です!!」
康太が必死に否定するが、抱えられたままで説得力がない。
クスクス笑いが広がる。
康太は顔を覆いたかったが、両手は空中に浮いたまま。どうにもできない。
「見ないでくださーーい!!」
声だけがむなしく廊下に響いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます