第4話 分析しました。
♪ 醤油塗られて
だんご、だんご、だんご
尼子三兄弟~!
ちゃん、ちゃん。
などと、
頭の中でふざけた替え歌が流れるほど、
目の前の光景は平和そのものだった。
尼子晴久の遺児、
義久・倫久・秀久。
尼子三兄弟、
仲良く上座に横一列。
中央が当主、義久。
左右に弟たち。
(……これ、団子三兄弟だろ)
正直、
串刺しにして一列で運びたい。
僕は一応、真面目な顔で言った。
「我ら、信長様の軍である中田軍は
打倒・毛利家のために参りました。
願いは同じはず。
共に戦い、頑張りましょう」
すると
即・左右が反応。
右の団子が、
一歩前に出て言う。
「兄者!
こやつら、我らをそそのかし
お家を乗っ取ろうとしておりますぞ!」
(早い、早すぎる)
左の団子も負けじと続く。
「兄者!
我らだけでも十分、毛利に抵抗できます!
部外者を入れるなど、もってのほか!」
中央の団子。
「うー~~~~ん」
(思考、停止)
僕は深呼吸して、条件を出した。
「我が軍は、
尼子家の領地を保証します」
すると右。
「兄者!
そんな保証、最初だけでございます!
信長は北畠家を乗っ取り、
一族離散させましたぞ!」
左。
「兄者!
信長は短気で、
気に入らぬ者はすぐイチャモンつけて滅ぼします!
武田、六角、斎藤――
みんな滅亡しております!」
中央。
「うー~~~~ん」
(あ、これダメな会議だ)
会議はするが、何も決まらない。
全員意見を言うが、責任は取らない。
地獄の会議室、戦国版。
最後の切り札を出す。
「尼子家の領地、
そして尼子一族は
我が命にかえても保証します」
すると右。
「兄者!
あの者の命など、
以下ほどの価値でございましょう!
信長は鬼でございます!」
左。
「兄者!
その者が死んだら、
“条約破棄”とか言って
攻め入ってくるに違いありません!
信長とは、
そういう男でございます!」
中央。
「うー~~~~ん」
(もう無理)
ついに、
僕の中の理性が切れた。
「おい!!
いい加減にしろ!!
僕と一緒に戦うのか!
戦わないのか!
ハッキリしやがれ!!」
次の瞬間
三兄弟、見事なハモリ。
「「「ひぃいいいいいい!!!」」」
(仲良すぎだろ)
三人、同時に悲鳴。
姿勢も、声量も、タイミングも完璧。
(……毛利の三兄弟に負けるわ、これ)
団結力はある。
判断力が、ない。
正直、彼らの言い分にも一理ある。
(信長様なら……
うん、やりかねない)
超・ブラック企業。
戦続き。
周辺諸国に悪名高い。
ただ救いはあった。
家臣団が有能。
山中家、秋上家、横道家。
尼子に忠誠を誓う、
実戦派の武将たち。
(上がダメでも、現場は優秀)
(あるあるすぎる)
尼子三兄弟を眺めながら、
僕は心の中で思った。
(……歴史では、
この三人、毛利に幽閉されるんだよな)
(封印系エンドか……)
だが今は、
次の一手。
「よし…… 次は宇喜多家だ」
そう言って、
僕は馬首を返した。
目的地伊賀の里。
忍者と裏切りと、
信用できない連中の巣窟。
(ああ…… また胃が痛くなる仕事だ)
こうして
尼子ギャグ回は幕を閉じ、喜多家・寝返り交渉(地獄)へ突入する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます