第2話 秘密の契約をしました。
僕は明智光秀と一緒に越後の雪山を越え、ついに目の前に上杉謙信様を拝むことになった。ゲームで何度も聞いたあの勇名なセリフ、「吾こそは上杉謙信なり!」の人だ。
白い袈裟がけ、まるで僧侶……いや、戦神の風格。ロンゲの髪をなびかせ、口元は布で隠している。
僕はすぐに心の中で考えた。
(難しい話は明智君に任せました。仲良く武田信玄をやっつけようよ!)
「では、武田軍への連携はどうでしょうか?」
僕がちょっと軽いノリで聞くと、謙信様はピシッと答えた。
「お断り申す!」
……やっぱり、断られた。
僕は目を丸くして、明智君に聞いた。
なんで?何で?
「して、その訳をお聞かせ下さいませ」
僕が問いただすと、謙信様はキリリと答える。
「拙者、卑怯な三方向から攻める戦方が気に入りませぬ」
……あーあ、やっぱりその話か。
僕は心の中で思い出した。
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上杉謙信の【義】の話
昔、武田信玄に敵対していた今川氏が北条氏と協力して塩留(経済封鎖)を行った。
海に面していない甲府の領民は塩が手に入らず、大変苦しんだ。
しかし上杉謙信は義を重んじ、武田領民を思いやり、越後から塩を送ったという。
しかも高値で売られないよう、厳しく監視までしたらしい。
長野県松本市では毎年1月11日に塩市(あめ市)が開かれ、義の精神を伝承している。
「上杉謙信……
僕は心の中でガッツポーズ。
戦の鬼だけど、義も忘れない……カッコ良すぎる。
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明智君はすかさず僕に言った。
「では、引き続き不戦の和議をお願い申す。」
なるほど、これが『不戦の和議』か。
相手が他国に攻め入っても攻撃しないという約束。
明智君、やっぱり頭固いな……でも戦略的には正しい。
「うむ、暫く考えたい」
これで同盟交渉は後ほど返答ということになった。
その後、謙信様に夕食の会を開いて頂いた。
僕はワクワクしながら席につく。
「中田殿、こちらへ」
謙信様、ほろ酔い……目の下が紅く染まっている。
「はい、はい、何でしょう?」
僕が右手を差し出すと、謙信様はバッサリ掴む。
「手を貸してもらえるか?」
……え?
次の瞬間、謙信様は僕の手を自分の着物の胸の辺りに突っ込む。
プニプニ……
胸が……膨らんでる!?
上杉謙信って、ひげ面の男じゃなかったの……?
(そういえば、ひげ面の自画像は偽物説があるらしい……)
僕は心の中でゴクリ。
女……?美男子……?いや、謎すぎる。
「これは二人だけの約束ですぞ……ふっふぅふ」
……僕、謎の上杉謙信と秘密の約束を結んでしまった。
雪山越えよりも衝撃的だ。
僕は思った。
(歴史の教科書に載せていいネタか?いや、絶対ダメだ……)
明智光秀は横で無表情。
「殿、真剣に考えてください。戦略会議はまだ終わっておりません。」
僕は馬上で悶絶しながら、心の中で叫ぶ。
「戦略より謙信様の胸の方が怖いんだよぉ――――!」
こうして僕の越後の旅は、戦略交渉よりも謎の上杉謙信との奇妙な秘密で幕を閉じたのであった。
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