第7話 鉄甲船を造りました。

天王寺合戦前夜


天王寺砦の陣は、湿った潮風に包まれていた。

南からは海。

沖には黒い点が無数に浮かんでいる。


「……毛利の舟じゃな」


村上水軍、六百隻。 白い帆が波に揺れ、まるで湾全体が敵に変わったかのようだった。

信長様は不機嫌そうに唾を吐いた。

「ちっ、坊主ども、海まで引っ張り出しおって。  ええ加減にせえや」


「兵糧攻めできん?  ほんなら何で攻めりゃええんだがや!」


「山の上からは鉄砲、 海からは毛利、  わしぁ八方塞がりかぁ? あぁ?」


「玄白!  このままやったら、わしが恥かくだけやぞ!  なんとかせぇや、はよ!」

完全にキレ気味である。


九鬼嘉隆との会談

北畠領内、入り江。


そこに停泊していたのは、 いかにも「海賊」と言わんばかりの舟の群れだった。


九鬼嘉隆は、日に焼けた顔で笑った。


「火攻めは、毛利の十八番じゃ。  だがな燃えねぇ船なら、話は別だろ?」


鉄甲船・開発開始 造船所は、まるで巨大な鍛冶場だった。


① 船体強化 既存の大型安宅船をベースにする。

その外板の上から 鉄板 鉄板 とにかく鉄板


「こんなに貼って沈まんのか?」と誰かが言う。


「沈む前に、んだけ耐えられるか試すんじゃ!」

信長様は尾張弁で下品に叫ぶ。

「クソ坊主ども、頼んだぞ、わしを笑わせんなや!」


② 甲板改造

甲板には巨大な槍のカタパルトを設置。

丸太と鉄棒を組み合わせ、滑車と鎖で旋回可能にする。

「こいつで毛利の船に大穴あけて、沈めてしまえ!」

職人たちは汗だくになりながら槍を船に固定していく。


船の左右には補助の小舟を連結。

衝突や波で船体が揺れても槍が外れないよう、鎖と木材で補強。

まるで鋼鉄の蟹が波間を這うかのようだ。


③ 火攻め対策

毛利水軍の十八番・火攻めに備え、船体に耐火布を巻き、油や樹脂の付着を防ぐ。

「火をかけられても、わしらの怪物は燃えんぞ」

嘉隆は笑い、試作船に火の粉を撒いても燃えない様子に満足げだ。


④ 浜辺で試運転。

船を波に浮かべ、槍のカタパルトを発射。

「うおっ、思ったより飛ぶな!」

槍は大穴を開け、沈める威力を確認。

船員たちも歓声を上げる。まさに戦国版“海賊体験”。


⑤ 鉄甲船10隻、完成。

鋼鉄で覆われ、甲板には槍、補助小舟付き。

波間に揺れる姿は、まるで海上の戦闘怪獣だ。


信長様、完成を見て大声で叫ぶ。

「どえりゃあ船ができたのう!毛利ども、こんな鉄の化け物、ぶっ壊してみいや、ハハハ!」


僕は船の甲板に上がり、海を見渡す。

沖に浮かぶ毛利水軍。

黒い点が600隻……これが明日の戦場になる。


「よし、これで僕も海賊だ……いや、戦国の海の暴れん坊になれる」

胸の高鳴りと、鉄の冷たさが入り混じる。


浜辺は鉄の臭いと潮風、職人の汗と歓声で満たされ、戦いの前の緊張と興奮で震えていた。


__________________


【毛利水軍】

信長の軍勢を度々苦しめてきた毛利家の直轄の水軍(海賊衆)

大将の船と小船による機動的な集団戦法を得意とした。

とくに村上水軍の火攻めは、他の水軍を圧倒した。


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