第三部 近畿地方編
第1話 次の敵を考えました。
大阪・石山本願寺。
浄土真宗の総本山であり、同時に巨大な宗教武装拠点でもあった。
僧兵たちは石垣を築き、濠を掘り、鉄砲と槍で武装している。
念仏を唱えながら、殺す覚悟を持つ集団
それは、もはや寺ではない。
信長様は言った。
「仏の名を騙り、武器を取る。
坊主の皮を被った戦争屋だがや」
その一言で、すべてが決まった。
石山本願寺との戦は、避けられぬものとなった。
史実では、この戦いは十年続く。
だが
長引かせれば、国が腐る。
僕は心の中で目標を定めた。
二年で、本願寺を壊滅させる。
だが、一人だけ厄介な男がいる。
雑賀党首領、鈴木重秀。
鉄砲の扱いを“技術”ではなく“体系”にまで昇華させた男。
信長軍を最も苦しめる存在になる人物だ。
雑賀党は、石山本願寺と深く結びついている。
金、宗教、利害。すべてが絡み合った関係だ。
彼らの切り札が、組み撃ち鉄砲。
一挺の火縄銃を、四人で扱う。
役割は完全に分業され、無駄がない。
・弾を込める者
・火薬を整える者
・火縄を準備する者
・撃つ者
撃った瞬間、次の銃がすでに準備されている。
結果、連続して弾幕が張られる。
二組に分ければ、七秒に一発。
前線の指揮官は、顔を出した瞬間に撃ち抜かれる。
正面から当たれば、被害は甚大。
ならば
元を断つしかない。
狙うは、鈴木重秀ただ一人。
捕える?無理だ。
説得?通じない。
裏切り?考えにくい。
暗殺しかない。
その役を任せられるのは、一つしかなかった。
伊賀の里。
忍びの中でも、最も冷酷で、最も合理的な集団。
忠義では動かない。
理念も掲げない。
金で動く。契約で殺す。
それが伊賀だ。
伊賀は山中にある。
辿り着くまでに、道は険しく、人の気配は消える。
ここでは余計な言葉は不要だ。
感情も、理屈もいらない。
「誰を」
「いつまでに」
「いくらで」
それだけ。
依頼者が違えば、
昨日の仲間が、今日の敵になる。
伊賀では、それが“当たり前”だった。
冷たいが、正直だ。
甲賀は違う。
主君に仕える忠義の忍び。
今回の仕事には向かない。
鈴木重秀を消す。
それは一人の命を奪うことではない。
石山本願寺の牙を一本、抜くということだ。
この戦は、宗教戦争でもなければ、正義の戦でもない。
ただの生存競争だ。
信長様の天下か、
本願寺の理想郷か。
その狭間で、闇の仕事への依頼が、静かに始まろうとしていた。
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忍者とは何か?
忍者とは、戦国時代を中心に活動した
諜報・潜入・破壊・攪乱を専門とする実務者集団である。
剣豪でも、超人でもない。
彼らの本質は戦わずして勝つための裏方だ。
伊賀忍者と甲賀忍者の違い
伊賀忍者 傭兵型
金銭契約で動く
組織として独立
忍者同士で戦うこともある
冷酷だが、合理的。
「仕事」と割り切るプロ集団。
甲賀忍者
忠臣型
特定の大名に仕える
裏切りを嫌う
家単位で行動
情報戦向きだが、暗殺依頼には不向き。
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