第5話 部下をもちました。
土岐の一族、土岐政康との
木下藤吉郎(秀吉)さんと前田犬千代(利家)さんは伊勢方面へ出陣した。
そのころ僕は、信長様とともに京へ向かい、
室町幕府将軍・足利義輝へ現在の領土と戦況の報告に来ていた。
だが、いまは室町時代。
戦国だろうが何だろうが、将軍は足利家である。
まあ、数年後に追い出すんだけど。
信長様は御所へ入り、将軍へ拝謁。
僕は外で待機で暇なので京都散策に出た。
(中学の修学旅行以来だな……)
町は静かで、商いも少ない。
そりゃ戦国時代だもんな。
くノ一部隊が町人姿で周囲を固めている。
「……」
「……」
無言。
プロだ。
金閣寺、銀閣寺を見て、
「うん、知ってるやつだな」で終わった。
友達がいないと寂しいね。ぽぽぽぽーん
足が棒のようになりながら御所へ戻ると
信長様が誰かと歩いている。
「おう、玄白。こっち来い」
信長様はニヤニヤしている。
「こいつなぁ」
「足利の将軍んとこから押し付けられた厄介もんじゃ」
「この者が当家へ士官したがっておる」
「名を明智光秀と申すそうじゃ」
(出たーーーーーー!!)
心の中で絶叫した。
信長様は、まったく気にしていない様子で続ける。
「なんやその顔」
「便所で踏ん張っとるみてぇなツラしとるがや」
「ええか、玄白」
「武将っちゅうのはな、怪しい奴ほど使い道があるもんだわ」
「将軍様が『使ってやれ』言うたんじゃ」
「断ったら面倒くせぇじゃろが」
足利将軍の紹介。
歴史より早い。
信長様は光秀を横目で見て、鼻で笑う。
「土岐の残りカスだか何だか知らんが」
「ワシの前で裏切る度胸があるなら大したもんだわ」
「裏切ったらどうなるか?」
ぐっと顔を近づける。
「首飛ぶだけじゃ済まんぞ」
「一族まとめて、犬の餌だがや」
……下品である。
が、これが信長様だ。
光秀は平然と頭を下げる。
「ははっ。肝に銘じます」
信長様は笑った。
「ほう、目ぇ逸らさんか」
「なかなか図太いクソ坊主じゃな」
「玄白」
「おぬし、信頼できる部下が欲しい言うとったな」
「ちょうどええわ」
「こいつ、おぬしの下につけたる」
「面倒見てやれ」
「死なせたら、おぬしの責任だでな」
(げーーーーぇ。僕の部下が明智光秀!!
後に明智光秀の娘は細川家 細川忠興の妻となる。
細川ガラシャである。歴史って面白いよな。最悪だ……)
信長様はさらに畳みかける。
「どうだ、明智」
「玄白の下で働けるか?」
「こいつなぁ」
「頭は回るが、肝は小さい」
「だが嘘はつかん」
「裏切るなら正面から来るタイプじゃ」
……ひどい紹介である。
光秀は一礼。
「承知つかまつりました」
「命、玄白殿にお預けいたします」
信長様は満足そうに頷く。
「よしよし」
「これでまた一人、首を差し出す覚悟の奴が増えたわ」
「なぁ玄白」
「戦は人を喰う場所だ」
「喰われる前に喰え」
「情なんぞ持つと、腹壊すぞ」
そう言って、信長様は大笑いした。
「がははははは!!」
「さぁ帰るぞ!」
「京は陰気臭くて敵わん!」
こうして僕は後に本能寺の変を起こすであろう
男・明智光秀を部下として抱えることになった。
……歴史って、本当に意地が悪い。
____________________
【本能寺の変】
1582年 明智光秀は信長の命令により兵士1万3000で丹波亀山城を出陣、京へ向かって桂川を渡ったところで「敵は本能寺にあり!」と宣言!
反旗を翻し本能寺に宿泊していた信長を奇襲した。
抵抗むなしくもはやここまでと思った信長は森蘭丸に火をつけさせ放火、信長は自刃したといわれる。なぜ謀反を起こしたかはさまざまな説があるが謎である。
辞世の句
ときは今 あめが下しる 五月かな
今こそ土岐氏の一族である明智光秀が天下を治める五月である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます