第37話

一馬は、重力に翻弄され壁に叩きつけられながらも、ポーチからマザー・システムの残骸――脈打つ「脳」の断片を力技で引きずり出しました。


​「……勝手に重力を変えるなら、その『先』を読んでやるまでだ!」


​一馬は激しく上下が入れ替わる立方体の部屋の中で、強引に【作業台】を展開しました。


​【演算核の移植】: マザー・システムの生体脳チップを、破損したタクティカルバイザーの回路に直結。六階層で数千の個体を統制していた演算能力を、重力ベクトルの解析のみに特化させます。


​【ベクトル予測シミュレータ】: 次に重力がどの方向に、どの程度の強さで変化するかを0.1秒単位で視界に表示する「弾道予測ライン」を構築。


​【極光(アトラス・バスター)のアンカー化】: 槍の先端に、重力エネルギーを吸収して固定力に変える「重力吸着(グラビティ・マグネット)」の術式を刻み込みました。


​『カスタム完了:統合バイザー・予知型(プレディクト・バイザー)』


『スキル習得:重力振子走行(グラビティ・スイング)』


​「……見える。次は『右』、3秒後に『上』だ!」


​一馬は、視界に表示された青い予測ラインに従い、槍モードの『極光』を右側の壁へ渾身の力で突き刺しました。


​チーン――。


​警告音と同時に、重力が右方向へと猛烈に切り替わります。


普通なら壁に叩きつけられる衝撃。しかし一馬は、槍を支点にして体を大きくスイングさせました。


​「ここだッ!」


​重力変化のエネルギーを、そのまま「振り子」の加速へと変換。一馬の体は重力に逆らうのではなく、重力に「投げ出される」ような超高速で、隣の部屋へと射出されました。


​「ハハッ、これなら歩くより速いぞ!」


​次々と切り替わる重力。一馬は空中を舞いながら、次々に『極光』を壁や天井へ突き刺し、スイングを繰り返します。


メンテナンス不足のガタつく装備を、バイザーの精密な演算が補い、一馬はもはや「落下」しているのではなく、重力の荒波を「サーフィン」するように、七階層の奥深部へと突き進んでいきました。


​【現在のステータスと装備】

​■ パラメータ

​名前: 佐藤 一馬(24)

​レベル: 4.05(↑ 0.05UP)

​称号: 重力を手懐ける者

​状態: 昂揚(極限状態での新技術開発によりアドレナリンが放出中)

​■ 装備品

​武器: 魔導可変兵器・極光(アトラス・バスター:スイングカスタム)

​(壁への吸着力と、スイング時のしなりを強化)

​頭部: 予知型バイザー(マザー・ブレイン・カスタム)

​(重力変化を数秒先まで完全予測。視界が真っ赤なベクトル図で埋め尽くされている)

​防具: 白金生体聖護外套

​(激しいスイングのGに耐えながら、自己修復を継続中)



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