第35話

一馬は六階層の最深部、巨大なドーム状の広間に到達しました。そこには、数え切れないほどの血管とケーブルに繋がれた、巨大な「肉の脳」が鎮座していました。


​【鑑定:階層統括母体(バイオ・マザー・メインフレーム)】


説明:六階層の全バイオ・ギアを制御する生体スーパーコンピュータ。防衛機構として、死角なき「生体熱線レーザー」を全方位に放つ。


​「……っ、熱いな!」


​一馬が踏み込んだ瞬間、無数の有機レンズから放たれたレーザーが床を焼き、一馬の『白金生体聖護外套』を掠めます。自動修復機能が即座に働きますが、レーザーの密度が以前の階層とは桁違いで、まともに近づくことすらできません。


​「手も足も出ない……いや、手はある。俺には最高級の『有機素材』があるじゃないか!」


​一馬はポーチから、吉村田屋で持ち帰った**「燻製チャーキー(特大チャーシュー)」**を引っ張り出しました。


​「吉村さんの魂がこもったこの肉に……バイオ・コアの力を流し込む!」


​一馬は【作業台】を起動。回収したばかりのバイオ・ギアの残骸と、強烈な香りを放つチャーシューを融合させ、レベル3の回路設計で即席の「囮用バイオ・ギア」を錬成しました。


​『クラフト完了:即席バイオ・デコイ「家系一号」』


説明:燻製チャーシューのタンパク質をベースにした高速移動デコイ。吉村田屋の秘伝のタレ(有機魔力)により、敵マザーの索敵を強力に惹きつける。


​「いけっ、家系一号!」


​一馬がデコイを放り投げると、チャーシュー・デコイは猛烈な脂の煙を上げながら、壁を縦横無尽に駆け巡りました。

マザー・システムのセンサーは、そのあまりに濃厚な有機反応(と醤油の香り)を「最優先排除対象」と誤認。すべてのレーザーがデコイへと集中します。


​「今だッ! 特攻(チャージ)!」


​一馬は外套のスラスターを最大出力で噴射。レーザーの隙間を縫い、弾丸となってマザーの中央へと突っ込みました。


​「お前の『脳』に、俺の理屈(ロジック)を叩き込んでやる!」


​一馬は『極光』を槍モードで最大まで伸ばし、脈打つ脳の核へと突き立てました。熱線ではなく、中級ポーション精製技術を応用した「過負荷魔導パルス」を直接流し込みます。


​ドクンッ! と、マザー全体が大きく震え、次の瞬間、内部の血管が次々と破裂。六階層を支配していた不気味な脈動が、断末魔のような機械音と共に停止していきました。


​『六階層守護母体:バイオ・マザー停止。レベルアップ……4.00へ』


​「はぁ、はぁ……。チャーシューに助けられるとはな……。吉村さん、感謝するよ」


​一馬は、焼け焦げたチャーシューの欠片を拾い上げ、静まり返った地獄の跡地で一人、勝利を噛み締めました。


​【現在のステータスと装備】

​■ パラメータ

​名前: 佐藤 一馬(24)

​レベル: 4.00(↑ 0.12UP。ついにレベル4到達)

​称号: 生体迷宮を沈めし者

​状態: 疲労困憊(だが、レベルアップによる全能力底上げを実感中)

​■ 装備品

​武器: 魔導可変兵器・極光(アトラス・バスター)

​防具: 白金生体聖護外套(プラチナム・バイオ・ガーディアン)

​(レーザーによる熱損傷を自己修復中)

​道具: 銀翼の無限ポーチ(シルバー・ヴォルト)

​(※チャーシューを消費した)




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