第34話

一馬は、中央演算装置から目を切り、爆散したバイオ・ギアの残骸に歩み寄りました。肉と金属が混じり合った無残な塊の中で、一つだけ、ドクドクと規則的に明滅する赤黒いパーツがあります。


「……これか。こいつがこの化け物たちの『再生』を司ってるんだな」


一馬はタクティカルナイフの先で、神経のように絡みつくケーブルを慎重に切り離し、親指ほどの大きさの「有機魔導チップ」を摘み上げました。


【鑑定:有機魔導チップ(バイオ・コア・プロセッサ)】


説明:周囲の魔力を吸収し、物理的な損傷を「細胞分裂」と「魔力錬成」によって超高速修復するチップ。六階層の歪んだ進化の結晶。


「これを外套(コート)に組み込めば……いちいち地上に戻って修理する必要がなくなる」


一馬は周囲の安全を確保すると、ポーチから【作業台】を展開しました。


レベル3の「高密度回路設計」を駆使し、白金の外套の裏地に、この生きたチップを移植する手術を開始します。


* 【神経接続(リンク)】: スパイダーの超伝導糸を使い、外套の繊維全体にチップからの「再生指令」を伝えるネットワークを構築。


* 【拒絶反応の抑制】: 五階層の「聖水」を循環液として用い、有機チップが外套を「異物」としてではなく「自分の体」として認識するように調整。


* 【魔力給餌(フィード)】: 黄金の破片を触媒にし、空気中の魔力を効率よくチップに供給する回路を接続。


作業台の上で、外套がまるで生き物のようにビクリと震えました。


ガーゴイルの爪で付いた微かな傷跡が、まるで傷口が塞がるように、スゥ……と消えていきます。


『クラフト完了:白金生体聖護外套(プラチナム・バイオ・ガーディアン)』


説明:自己修復機能を備えた究極の防具。損傷を受けても魔力がある限り自動で修復される。また、着用者の負傷箇所に繊維が這い、止血・固定する簡易応急処置機能も追加。


「……完成だ。これで、継戦能力が飛躍的に上がった」


一馬が新調した外套を羽織ると、まるで皮膚の一部になったかのような一体感がありました。


試しに腕の装甲をナイフで軽く削ってみると、削れた部分が数秒で盛り上がり、元通りの輝きを取り戻します。


「よし。これで、あの気味の悪い『中央処理装置』のところまで一気に突き進める」


一馬は、脈打つ六階層の壁を睨み据えました。


装備さえも「生命」を取り込み始めた一馬。その進化は、もはや人間の理解を超えた領域へと踏み出そうとしていました。


【現在のステータスと装備】

■ パラメータ

* 名前: 佐藤 一馬(24)

* レベル: 3.88(↑ 0.06UP)

* 称号: 禁忌の技師

* 状態: 良好(装備との同調率が上昇中)

■ 装備品

* 武器: 魔導可変兵器・極光(アトラス・バスター)

* 防具: 白金生体聖護外套(プラチナム・バイオ・ガーディアン)

* (【新機能:自己修復】 軽度の損傷なら数秒、重度の損傷も数分で自動復旧)

* 道具: 銀翼の無限ポーチ(シルバー・ヴォルト)

* 道具: 黄金の中級ポーション 吉村田屋の持ち帰りチャーシュー





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