第32話

一馬は、完成したばかりの琥珀色に輝く「中級ポーション」をポーチに収め、一階層の出口へと向かいました。極限の緊張から解放され、ポーションの効果で傷が癒え始めると、猛烈な空腹感が襲ってきたからです。


​「……肉だ。ガツンと重い、動物性のエネルギーが欲しい」

​一馬が向かったのは、界隈でも屈指の行列店、家系総本山の流れを汲む**「吉村田屋」**でした。


​「ラーメン、中盛り。硬め、濃いめ、多めで……あと白飯」


​運ばれてきたのは、鶏油(チーユ)が黄金色に輝く、濃厚な醤油豚骨のスープ。一馬は迷わず、大判の海苔をスープに浸し、それを豆板醤と共にライスに巻いて口に放り込みました。


​「……うまい。生きてる……!」


​濃厚なスープを啜り、燻製チャーキーを噛み締めながら、一馬の脳裏には五階層での死闘がリプレイされていました。黄金の巨像に追い詰められた屈辱。生身の脆さ。


​「次は六階層か……。エレベーターがあるとはいえ、あそこから先はもう、今の『お遊び』の延長じゃ通用しない」


​麺を啜りながら、一馬はポーチの中に詰め込んだ「聖水」と「黄金の破片」の使い道を考えます。


中級ポーションの量産体制を整え、資金を確保するのは最低条件。その上で、あの大理石の宮殿さえも過去のものにするような、もっと強力な「自律型」の武装、あるいは「自分の身体を物理的に守る重装甲」が必要だと痛感していました。


​「吉村田屋のこのスープみたいに……濃厚で、隙のない装備を作ってやる」 


​一馬は、最後の一滴までスープを飲み干し、力強く店を後にしました。


ニンニクと醤油の香りを纏いながら、彼の視線はすでに、誰も見たことのない「六階層・機械生命の胎動」を捉えていました。

​【現在のステータスと装備】

​■ パラメータ

​名前: 佐藤 一馬(24)

​レベル: 3.75

​状態: 満腹・気力充実(家系パワーにより全快)

​所持金: 285,000円(※ポーションの出品により爆増の予感)

​■ 装備品

​武器: 魔導可変兵器・極光(アトラス・バスター)

​防具: 白金の聖護外套(これから自宅でフルメンテナンス)

​ストック: 黄金の中級ポーション × 12本

​(1本あれば致命傷からでも即座に戦線復帰可能な特級品)



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