第30話

一馬は、痛む脇腹を抱え、ズタズタになった外套を引きずりながら、神殿のさらに奥へと足を進めました。白い大理石の回廊は静まり返り、自分の荒い呼吸音だけが不気味に響きます。


​突き当たりの広間に出た瞬間、柔らかな青い光が視界を包み込みました。


​広場の中央には、透き通った水が溢れ出す優美な噴水がありました。その水からは、地上では決して感じることのない、濃密で清浄な魔力が立ち昇っています。


​【鑑定:女神の癒やし(五階層・セーフティエリア)】

説明:高純度の魔力を宿した霊水。浸かることで肉体の損傷を急速に再生し、精神的疲労をリセットする。 


​「……助かった。ポーションだけじゃ、この傷は塞がりきらなかった」


​一馬は壊れた装備を脱ぎ捨て、噴水の縁に腰を下ろして水を浴びました。ひんやりとした水が傷口に触れると、焼けるような痛みが引き、紫色の打撲痕が目に見えて消えていきます。


​「ふぅ……。死ぬかと思った。四階層で乗り物の力に頼りすぎて、自分の地力のなさを忘れてたよ」 


​肉体が回復するにつれ、一馬の職人としての頭脳が再び回転し始めます。

彼は噴水の脇に【作業台】を展開しました。ポーチから取り出したのは、これまで集めてきた素材の数々と、ボロボロになった愛用の装備たち。


​「今のままじゃ、この先の神殿は越えられない。もっと……自分自身を『強化』しなきゃダメだ」


​一馬は、三階層で手に入れた「耐圧合金の端材」と、五階層のガーゴイルから剥ぎ取った「白大理石の魔力触媒」、さらにポーチに眠っていた「強化樹脂」を組み合わせました。


​【外套の再構築】: ズタズタになった金獅子の外套をベースに、ガーゴイルの破片を鱗状に配置。物理防御力を飛躍的に高めつつ、魔力による軽量化を施す。


​【槍の補強】: 『極光』の駆動部に、噴水の聖水で精製した魔力冷却液を封入。可変時の摩擦と熱によるガタを完全に解消し、変形速度を1.5倍に引き上げる。 


​【タクティカルマスクの修復・強化】: 破損したマスクを、より広角な索敵が可能な「統合型バイザー」へとアップグレード。

​『クラフト完了:白金の聖護外套(プラチナム・ガーディアン)』

『メンテナンス完了:魔導可変兵器・極光(アトラス・バスター:カスタムver.)』


​「……よし。これで戦える」


​一馬は、新しく生まれ変わった白い防具を身に纏い、マスクを装着しました。

治癒の泉で全快した肉体と、新調された装備。一馬の瞳には、先ほどまでの絶望感はなく、確かな「戦士」の光が宿っていました。


​「次は負けない。この神殿の主(ぬし)まで、最短距離でぶち抜く!」 


​【現在のステータスと装備】

​■ パラメータ

​名前: 佐藤 一馬(24)

​レベル: 3.60(↑ 0.05UP)

​称号: 聖域の再起者

​状態: 完全回復(精神的にも非常に安定)

​■ 装備品

​武器: 魔導可変兵器・極光(アトラス・バスター:カスタム)

​(冷却効率が向上し、連射と変形がスムーズに)

​防具: 白金の聖護外套(プラチナム・ガーディアン)

​(ガーゴイルの特性を継承し、物理耐性が大幅上昇。見た目も白銀に輝く)

​頭部: 統合型タクティカルバイザー

​(索敵機能が強化され、死角からの攻撃を予測可能)

​道具: 銀翼の無限ポーチ(シルバー・ヴォルト)


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る