第22話
一馬は、無機質な防衛通路を抜け、一段と巨大な石の扉を開いた。その先に広がっていたのは、驚くべきことに、かつての文明の人々が暮らしていた「居住区」だった。
「ここは……街、なのか?」
天井には擬似的な太陽光を放つ魔導パネルが埋め込まれ、数千年の時を経てもなお、柔らかな光が街並みを照らしている。植物は一切ないが、石造りの家々が整然と並び、中央広場には今も澄んだ水が湧き出る噴水が稼働していた。
一馬は恐る恐る、一軒の家の中へ足を踏み入れた。そこには、現代社会の「女性優位な利権」に縛られない、純粋な技術の結晶が眠っていた。
「……これは、キッチンか?」
一馬の目に飛び込んできたのは、見たこともない形状の石のプレートだった。手をかざすと、微かな魔力が脈動し、瞬時に最適な調理温度へと加熱される。
【鑑定:古代式・分子調理器(アーカイク・クッカー)】
説明:投入した食材の鮮度を保ちつつ、魔力振動で完璧に加熱調理する。レシピを登録すれば、全自動で「至高の料理」を再現可能。
さらにその横には、汚れた布を放り込むだけで、魔力の波動により汚れを完全に分解・除去し、新品同様の仕上がりにする「自動洗浄機(クリーン・ボックス)」まで置かれていた。
「これだ……俺が欲しかったのは、こういう力だ」
一馬は、フリマアプリの売上金で買った「家ジロー」の残りカスが付いたプラスチック容器を、試しに洗浄機へ放り込んだ。
数秒。
光が走った後、取り出した容器は、脂汚れもニンニクの臭いも完全に消え去り、まるで製造直後のような輝きを取り戻していた。
「最高すぎる……。これを無限ポーチの中に組み込めば、俺の探索生活は劇的に変わるぞ」
一馬は【作業台】を起動した。
レベル3の「回路設計」機能を使えば、これらの大型設備を分解し、その核心となる「魔導回路」を小型化して自分の装備や拠点へ移植することができる。
一馬は数日をかけ、居住区の廃屋から、調理・洗浄・さらには「空気清浄」を司る魔導回路を慎重に回収した。そして、それらを『銀翼の無限ポーチ』の内部空間へと再構築し、ポーチ自体を**「住居兼、移動式ラボ」**へと改造し始めた。
「よし、これでダンジョンの中にいても、清潔な服が着られて、温かくて美味い飯が食える」
社会からドロップアウトし、ボロアパートの片隅で震えていた男は、今や失われた古代文明の主(あるじ)となり、誰にも邪魔されない「究極のプライベート空間」を手に入れようとしていた。
【現在のステータスと装備】
■ パラメータ
名前: 佐藤 一馬(24)
種族: 人間(男)
レベル: 3.12(↑ 0.02UP)
称号: 文明の継承者
状態: 快適(生活の質が爆上がり中)
所持金: 412,000円
■ 装備品
武器: 黄金の魔導戦槍(ゴールデン・パイルバール)
道具: 銀翼の無限ポーチ(シルバー・ヴォルト:拡張改修済)
(内部空間に**「自動洗浄機能」と「簡易調理機能」**を付与。放り込むだけで洗濯と炊事が完了する)
防具: 金獅子の隠密外套(ゴールド・ステルス・コート)
(洗浄機能により、常に新品同様の輝きを維持)
道具: 古代式・携帯魔力電池
(居住区で回収した、大容量の魔力蓄電器)
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