第20話
ミスト・バタフライを打ち倒した余韻に浸る間もなく、一馬の脳内に、これまでになく力強いシステムメッセージが鳴り響きました。
『個体「佐藤一馬」:レベル 3へ到達』
『【作業台】の権限がランクアップ:【高密度回路設計】および【空間拡張錬成】が解放されました』
「レベル3……。それに、空間拡張?」
一馬は、崩れ落ちた巨大蝶の残骸から、真珠のような輝きを放つ「絹のような鱗翅」を回収し、急ぎ拠点へと戻りました。今の彼には、溢れ出す新しい知識を形にしたくてたまらないという、創作の衝動が突き上げていたのです。
拠点に戻った一馬は、さっそく新機能を起動しました。これまでは素材を混ぜ合わせるのが精一杯でしたが、レベル3の【作業台】は、素材の中に魔力の「通り道」を回路として刻み込み、物理法則を無視した機能を持たせることが可能になっていました。
「いつまでもリュック一つで探索するのは限界だ。素材も装備も、全部持ち歩ける『器』が欲しい」
一馬は、ミスト・バタフライから得た「銀の魔晶石」を核に据え、そこにスパイダーの糸を銀絹の鱗翅で補強した極上の布地を投入しました。
作業台から、これまでにないほど緻密な魔力の光が溢れ出します。
一馬は脳内の回路設計図に従い、空間を歪めて固定する特殊な「座標固定回路」を、鱗翅の繊維一本一本に刻み込んでいきました。
『クラフト完了:銀翼の無限ポーチ(シルバー・ヴォルト)』
説明:レベル3の空間拡張技術を初めて適用したマジックアイテム。外見は小さなポーチだが、内部には一軒家が丸ごと収まるほどの広大な亜空間が広がっている。
「……できた」
一馬が完成したポーチに手を差し入れると、腕の付け根まで沈み込むような奇妙な感覚がありました。重さは空の状態と変わらず、羽のように軽い。これがあれば、もうどれだけ素材を採取しても、ホームセンターでどれだけ資材を買い込んでも、手ぶらで探索が可能です。
「次は、この中に『移動式の工房』を作ることだってできるかもしれないな……」
一馬は、自らの手で「世界の法則」を一つ書き換えたような、万能感にも似た高揚感に包まれていました。
【現在のステータスと装備】
■ パラメータ
名前: 佐藤 一馬(24)
種族: 人間(男)
レベル: 3.01(↑ 0.01UP)
称号: 空間を拓く者
状態: 良好(知的好奇心の充足)
所持金: 412,000円
■ 装備品
武器: 黄金の魔導戦槍(ゴールデン・パイルバール)
(レベル3の技術でメンテナンスし、出力の安定性が向上)
防具: 金獅子の隠密外套(ゴールド・ステルス・コート)
頭部: 対魔毒・密閉型タクティカルマスク
道具: 銀翼の無限ポーチ(シルバー・ヴォルト)
(容量:約150立方メートル。現在は採取した樹海の素材を大量に収納中)
道具: 樹海の恵み・濃縮魔導ゼリー
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