第17話
一馬は、完成した『樹海の恵み・濃縮魔導ゼリー』を、前回と同じく「ハンドメイドの栄養ゼリー」という名目でフリマアプリに出品しました。価格は強気の1個2,500円。材料の希少性と手間を考えれば、これでも安すぎるくらいです。
出品して数分後、一馬のスマホが壊れたかのように震え始めました。
「え……なに、これ……!?」
画面には、凄まじい勢いで届く「購入通知」と「コメント」の嵐。
『これ、あの時の「サトウ」さんの新作ですよね!?』
『前回のポーション、低級なのに回復効率が異常でした。信じて買い占めます!』
『有名配信者の「リリィ」がSNSで拡散してた。即完売しそう……。在庫全部ください!』
一馬が驚いている間に、用意していた30枚のセットが次々と完売。さらに追加を求めるコメントが数分で100件を超えました。前回の高品質ポーションの「中身」に気づいていた、目の肥えた一部の女性探索者たちが、一馬のアカウントを「伝説の隠れ職人」としてマークしていたのです。
結局、一晩で売り上げは数十万円に達しました。手数料を引いても、一馬の口座にはこれまでに見たこともないような大金が振り込まれたのです。
「……信じられない。本当に、売れたんだ」
一馬は、震える指で銀行口座の残高を確認しました。数日前まで2,300円しかなかった残高が、一気に膨れ上がっています。
極限の緊張状態だった二階層の探索、そして毒粉の恐怖。それらを乗り越えた自分への、初めてのご褒美を許すことにしました。一馬は数日ぶりにアパートの外へ出ると、夜のコンビニへと足を運びました。
選んだのは、チルドコーナーでひと際存在感を放つ、極太麺と大量の背脂が特徴の**『家ジロー系ラーメン』**。
「今日は、これくらいの贅沢はいいよな……」
ついでに黒ウーロン茶と、少し高いデザートもカゴに入れ、一馬はホクホク顔で帰宅しました。
自室に戻り、レンジで温めること数分。部屋中に暴力的なニンニクの香りが広がります。
「……いただきます」
ワシワシとした食感の極太麺を啜り、濃厚なスープを流し込む。
ダンジョンの冷たい空気や、マンイーターの蔦に怯える日々とは無縁の、ジャンクで温かい幸福感。
「うまい……。生きてるって感じがする……」
一馬は、黄金の槍を壁に立てかけ、ゴーグルを机に置いたまま、夢中で麺を啜りました。
社会からは「無価値なニート」として扱われ、ダンジョンでは「非力な獲物」として狙われる。
けれど今、彼は自分の知恵と技術で、確かな「居場所」と「報酬」を勝ち取ったのです。
お腹も心も満たされた一馬は、食後のデザートを頬張りながら、次の探索の計画を練り始めました。次は、この資金を使ってホームセンターPROで「さらに高度な精密機械」を仕入れるつもりです。
【現在のステータスと装備】
■ パラメータ
名前: 佐藤 一馬(24)
種族: 人間(男)
レベル: 2.25
称号: 樹海の開拓者
状態: 満腹・幸福(ニンニクパワー充填完了)
所持金: 425,000円(↑ 大幅UP!)
■ 装備品
武器: 黄金の魔導戦槍(ゴールデン・パイルバール)
頭部: 対魔毒・密閉型タクティカルマスク
頭部: 耐衝撃・広角気密ゴーグル
防具: 金獅子の隠密外套(ゴールド・ステルス・コート)
道具: 樹海の恵み・濃縮魔導ゼリー(※在庫切れのため自分用のみ)
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