第11話:無双の救出と、届かぬ祈り
「グガァッ! 人間、殺ス!」
村の倉庫付近。三匹のオークが、逃げ遅れた老人や女性たちを追い詰めていた。
そこに、一筋の銀光が割り込む。
「悪いが、そいつらは俺の『シンクロ』が許可してない保護対象だ」
カイトは複数の敵を同時に視界に収めながらも、焦りは一切ない。
敵の呼吸、足の運び、筋肉の収縮。
すべてを経験から来る「読み」で先読みする。
一匹目のオークが振り回した斧を、首を僅かに傾けて回避。
そのまま、すれ違いざまに喉元を切り裂く。
二匹目が咆哮を上げた瞬間には、カイトは既にその死角へと回り込んでいた。
流れるような剣舞。
魔術的なエフェクトはない。だが、その一振り一振りが、確実に、そして残酷なほど正確に敵の急所を捉えていく。
「た、助かった……ありがとうございます、英雄様!」
「礼はいい。……まだ残党がいる。安全な場所へ移動しろ!」
カイトは村の隅々まで走り回り、襲われていた村人たちを次々と救い出していく。
やがて、残党のリーダー格である上級悪魔(デーモン)が現れた。
禍々しい魔力を纏った大鎌を振り回し、笑い声を上げる。
「ククク、貴様、只者ではないな。だが、この瘴気の前では――」
「喋りすぎだ」
カイトは相手の間合いへ、弾丸のような速度で踏み込んだ。
デーモンが慌てて鎌を振るうが、カイトはその軌道さえも「経験」で読み切っていた。
刃の届かないデッドゾーンを正確に突き、デーモンの胸元を聖剣が貫く。
「な……魔法も使わずに、私の……っ」
「魔法は便利だが、最後は剣の届く距離が全てなんだよ」
デーモンが霧となって消滅し、ようやく村に静寂が戻った。
救出されたサリアがカイトに駆け寄る。その瞳には、隠しようのない羨望と恋心が宿っていた。
「カイト様……凄いです。私、こんなに強い人、見たことありません……」
カイトの『シンクロ』が、彼女の激しい恋心の盛り上がり――吊り橋効果による熱狂を捉える。
(よし……。これは完全にフラグが立った。今度こそ、間違いなく『真のヒロイン』確定だ……!)
カイトが内心で勝利を確信した、その時。
「サリア……逃げろ、サリア……!」
血を吐きながら、建物の影から一人の青年が這い出してきた。
サリアの表情が、一瞬で凍り付く。
「バク……!? バク、嘘でしょ!?」
バク。
彼女の幼馴染であり、村を守ろうとして最後まで一人で戦っていた男だ。
彼の腹部は魔族の爪によって深く裂かれ、内臓に達するほどの致命傷を負っていた。
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