第7話 §反乱§

 動きがあったのは、朝まだ暗い時間だった。


 バンドラが兵士たちの数十人を率いて宿から出てきた。


 先頭に立つバンドラの手には太い鎖が握られ、鎖にはリサが縛りつけられていた。バンドラはリサを縛った鎖を荒っぽく引っ張って歩いて行く。


 城壁の前まで来ると、バンドラはリサに強い口調で言う。


「さあ、お前の力を見せてみろ」


 城壁を警護していた衛兵たちが数人、異変を感じて飛び出してきた。

 数人の衛兵は城の親衛隊へ報告に走る。


 城を守る親衛隊の兵士たち数十人が一斉に城から出てきた。


 親衛隊の兵士たちがバンドラの兵士たちの前に立ちはだかり前進することをはばんだ。


「お前はダバン軍の兵士バンドラだな。一体何の真似だ」

「フン、俺は最強の兵器を手に入れた。今からお前らに崇高な神の裁きを下す」

「お前、気でも狂ったのか? それだけの人数で何ができるというのだ」

「こいつが目に入らねえか!」


 親衛隊の兵士の一人が隊長に駆け寄り耳打ちする。

「リサです。不思議な力を持つと言われる少女です」


 隊長はその男を横目でチラッと見て、もう一度、バンドラに目を向ける。

「ほう、その子がリサか。偽物ではないだろうな」


 その様子を物陰から少年が見つめる。


 少年は、その場にいる兵士たちの様子、どこにどういう兵士がいるのかを見極める。


 バンドラとバンドラの兵士たちの更に数十メートル後ろに、将軍ダバン、副将軍のギレイルとその兵士数十人が弓を構えて城壁の親衛隊たちを狙っている。


 親衛隊の兵士たちから、ダバンの兵士たちは見えていない。親衛隊の兵士たちはバンドラとその兵士だけが攻めてきていると思っている。


 ここで一斉にダバン軍の弓矢が放たれれば、ダバンとギレイルは一気にこの親衛隊軍を突破するかもしれない。


 ダバンたちは城を陥落させるためなら、バンドラたちを犠牲にすることなど何とも思っていないのだ。


 しかし、この状況で弓矢が放たれるとリサの命が危ない。


 恐らくダバンやギレイルはリサの命を守ろうということなど微塵も思っていない。

 ダバンたちは『リサに力がある』という噂を盾にしているが、本当は彼女が特殊な力を持っているなどとはつゆも思っていないであろう。


 どこかのタイミングで一斉にダバンたちが攻撃を仕掛けることは想像がつく。

 そうなれば、間違いなくリサの命が危ない。

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