第5話 §城塞の王国にやって来た少年§

 その頃、一人の少年が、ディオレラの城壁の外に馬をつなぎ、入り口で守衛ゴーラと話をしていた。


「お、なんだ、坊主、買い物か何かか?」

「ああ、隣町から食料を買いにやって来たんだ。別に怪しいもんじゃないよ。通してくれないか」

「怪しいかどうかは俺が決める。まあ、お前みたいな小僧一人通したところで、何が起きるってもんでもないだろう。いいだろう。通れ」


「馬をここにおいてもらってもいいかい」

 少年が馬を指差して言う。


「ああ、いいが、ここから歩いて行くのか?」

「そうしようと思う」


「まあまあ大きい街だぜ」

「大きい街か、でも、このくらいの街なら、僕の力でぶっ潰せるかもしれないぜ」

「ハハ、やってみろ」

 と言ってゴーラが腕の力こぶを見せる。

「ごめんごめんかなわないよ」

 少年が笑いながら門を通る。ゴーラがしょうがない奴だという顔で「行け」と追い払うようにする。


 少年が身に纏っている黒いローブのフードを頭にかぶると、ゴーラは微かに少年が消えた様な錯覚に陥った。


「ん?」

 目をこするようにしたが、既に少年は人混みにまぎれ消えていた。

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