第3話 §荒野を走り抜ける風§
果てしなく広がる荒野。
遥か彼方まで赤茶けた大地が見えるだけ、朝のこの時間になると、まるで地平線の向こうから走ってくるような乾いた風が、少年の体を通り抜ける様に吹き去って行った。
その風は、もうすぐ昇ってくる朝日の方から吹いてくる。
地平線が真っ赤に燃え、やがてすべてを飲み込むほど大きな朝日が現れると、一層、強い風が吹き始める。
辺境の町エルドナとその先にある城塞の王国ディオレラ王国の間。
少年は今朝まだ夜が明ける前にエルドナを出てディオレラ王国に向かっていた。
朝がきた。
少年はフードのついた黒いローブに身を包み、焚火でコーヒーを沸かし、一切れのパンを焼き口にする。
少年のいる場所からわずかに数百メートルほどのところを、凄まじい土煙を舞い上げながら、仰々しい
幸い風向きのお陰で
宿屋にいた少女リサだ。
リサは泣き叫ぶ様子もなく毅然とした表情でその大男を睨むように見ている。
リサは少年の焚火の煙に気が付いたようだ。遠目に、リサと目が合ったのが分かった。
リサは少年に気付き、一瞬、助けを求めるような目線を送ってきた。
少年は目を閉じ意識を集中する。
『助けて』
リサの声が聞こえた。
大軍の大男たちは自分たちの馬の巻きあげる土煙と、荒野を吹く風が巻き上げる土埃に、誰一人として少年の焚火の煙に気付く者はいなかった。
少年は焚火を消し、去って行く隊列を睨むように見たかと思うと、馬に乗って隊列の後を追った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます