第2話 §不思議な力を持つ少女§

 その朝、少年と入れ替わるように町に大勢の甲冑かっちゅうを着た大男たちがやって来た。

 男たちは一枚の少女の写真を手に町の人たちに聞いて回る。町の人が宿屋ボルポナルを指差す。

 大勢の足音が宿屋に押し寄せた。ドアが壊れるほどの勢いで叩き開けられ、怒鳴り声が響く。


「おい! あるじ! ここで働いている子を渡せ!」

「え? リサですか? リサが何かしでかしましたか?」

「いや、何も……ただ、そいつを渡してもらいたいと言っているのだ。ここの子ではないだろう?」

 男たちの隊長と思われる大男が店の中を見回し、宿屋の主人を睨みつける。


「しかし、その子はうちの……」

 宿屋の主人が言い終わる前に、隊長の剣が主人の胸を貫いた。


「ひっ!」

 奥から出てきた女将おかみが腰を抜かすようにその場に尻もちをつき震えている。


「おい、震えてる場合じゃないぞ。この子を出せ」

 写真を顔の前に突き付けた。

「こ、こ、リサ、リサ……」


「隊長、いました!」

 店の奥で別の兵隊がリサを見つけ腕を掴んで連れてきた。


「いるじゃねえか」

 隊長はそう言いながらギラっとした目で女将を睨みつけたかと思うと手に持っていた剣で女将の胸を貫いた。


「キャー!」


 リサが悲鳴を上げてその場にうずくまった。


 バシッという物凄い音とともに宿屋の窓ガラスという窓ガラスがすべて割れて吹き飛んだ。


 一瞬、屈強な男たちが頭を抱えるようにしてその場にしゃがみ込んだ。隊長もひざを曲げるようにして姿勢を低くした。


 そこにいた誰もが様子を窺う様に辺りを見回した。


「な、なんだ?」

「何なのだ、今のは……突風か?」


 隊長が振り返ってリサに微笑んだ。

「ハハハ、驚きました。お嬢さん、私はこの隊を率いるダバンという者でございます。やっと、あなたにお目にかかれましたな……さ、一緒にお城に参りましょう。王がお呼びです」

 隊長ダバンはうやうやしくひざまずいて一礼した。


 血を流して倒れている二人を見て、言葉を失い倒れそうになるリサを隊長ダバンは片手で抱き上げたかと思うと、そのまま馬に乗り、


「行くぞ!」


 と兵隊たちに号令をかけて、その町を去って行った。

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