ニスタールは背嚢からペンチを取り出し、戦友たちに叫んだ。

「俺が電話線を切る。おまえたちは俺を見ていろ―その時が来たら、命令どおりにやってくれ」

 十二挺の銃が持ち上げられ、前方へ駆け出すニスタールに照準を合わせた。ニスタールは電線塔の下に潜り込み、まるで競技用のポールをよじ登るように塔を登っていった。十二の銃口も、それにつれてゆっくりと持ち上がっていった。

 この位置からでは、もはや戦友たちは彼を守ることも、救出することもできない。敵の銃弾は、いつでも彼を撃ち抜くことができた。彼らに残された行為は、ただ照準を定めることだけだった。もし彼が負傷し、身体が落下すれば、十二挺の銃から放たれる一斉射撃が、敵の銃弾とともに、あの空色の背嚢へと叩き込まれることになっていた。

 数分後、電話線は一本、また一本と切断され、地面へ垂れ落ちた。ニスタールが戻ってくると、十二挺の銃は静かに下ろされた。

 任務を完遂すると、彼らは踵を返して海岸へと走った。十二名の兵士は人の壁を作り、疾走するニスタールを護った。敵は執拗に追撃を加え、彼らの背後で、ひとりの兵士が倒れ、続いてまたひとりが倒れた。赤茶色の髪をした背の高い男も、あの若いケベック人も、次々に地に伏した。ニスタールが最初に、待機していた上陸用舟艇へ跳び込んだとき、彼の後に続いた戦友は、わずか五名しか残っていなかった。空色の背嚢を背負い、最も目立つ存在であった彼は、戦友たちの盾となる身体に守られ、奇跡的に無傷だった。彼らは、命を懸けて彼を守ることと、必要とあらば彼を容赦なく射殺すること―その両方の命令を、最後まで忠実に遂行したのである。

 ニスタールの電話線切断という着想は、きわめて有効だった。回線を失ったドイツ軍は、しばらくのあいだ、無線通信によって指揮所と連絡を取らざるを得なくなった。その間に、英国側は多数の秘匿通信を傍受し、貴重な情報を手に入れた。

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