テイト大佐は、この任務に付随する条件をどうしても受け入れがたく感じていた。

それはニスタールを、いかなる場合であれ敵の手に落とさないことである。彼は執務室でニスタールと面会した。背の高い、学生のような面立ちの若者だった。軍服に身を包んではいるものの、その歩き方にはなお、英国の中等学校生徒特有の癖が残っていた。

 テイト大佐は前置きもなく切り出した。

「軍曹、この偵察任務を君は本当に引き受けたいと思っているのか?」

 ニスタールは一瞬のためらいもなく、はっきりと答えた。

「はい、喜んで、大佐!」

 大佐はすでに高級将校であり、命令を下す権限を持っていた。しかし、実際にはまだ中学生の延長のような若者を、ほとんど生還の望みのない任務に送り出すことに、言葉を続けるのをためらった。少し間を置いて、彼は言った。

「よく考えてほしい。誰も君を強制しているわけではない。この任務には、特別な技術だけでなく、特別な勇気が要る。十二名の兵士が同行し、君を護衛することになっている」

 ニスタールは黙っていた。大佐は机の上の書類から目を離さず、彼を正視しようとしなかった。しばらくして、ひどく気が進まない様子で、口を開いた。

「軍曹……君は、我々のレーダーに関するすべての機密を知っている。君が敵の手に落ちることは、許されない。もし捕虜となる危険が生じた場合には、同行する者たちは……」

ニスタールは、大佐が言おうとしていることを理解していたが、それでも何も言わなかった。

「その場合だ、軍曹……同行者は、君を射殺する」

軍曹はわずかに間を置き、最後に冷ややかに答えた。

「了承します。大佐」

 その日の夜、ニスタールはワイト島へ向かった。そこでは、五千名のカナダ兵が上陸作戦の訓練を行っていた。島で彼を迎えたのは、別の大佐だった。敬意と疑念とを入り混ぜた視線を向ける人物である。大佐はニスタールを十二名のコマンド兵の前に連れて行き、意味深な口調で言った。

「紹介しよう。全員、私が自ら選び抜いた腕利きの狙撃手だ」

 彼らは皆、ニスタールと同じ年頃の若者だった。

 背が高く、赤茶色の髪をしたトロント出身の兵士。

 彼よりもさらに年若い、ケベックから来た兵士。

 小学校教師だった者もいた……明らかに、若者たちはそれぞれの生活を捨て、反ファシズムの戦いへと身を投じていた。

 彼は彼らとともに三か月間の訓練を受けた。キャンプを張り、射撃を行い、短剣を投げた。ときおりニスタールは、こう自問した。

―この中の誰が、命令に従って、私を殺すことになるのだろうか。

赤茶色の髪をした、あの背の高い男か。

それとも、あの自分より幼いケベック人か。

そして、彼らの視線や照準の動きから察するに、彼らもまた、同じ問いを胸に抱いているように思えた。

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