第7話|距離

昼休みの終わり、

廊下で先輩とすれ違った。


その視線が、

一瞬だけ俺の隣に向く。


「……随分、近い後輩ができたな」


「そうか?」


一拍、間があった。


「……まあ、いいか」


そう言って、

先輩は歩き出した。


背中が、

人の流れに紛れて見えなくなる。


俺は特に気にせず、

そのまま歩き出した。


隣で、

綾香も同じ速度で動く。


「……問題は?」


「何が?」


「距離です」


「特に、

 問題はないと思うけど」


一瞬、

返事が遅れた。


「……そうですか」


それだけ言って、

綾香は歩調を保った。


けれど、

一歩だけ、

踏み出しが遅れた。

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