第3話 引退するには

そのあとそれぞれが最近あった出来事から国内外の状況報告をして会議は終了した。


なんか他の奴らを宥めるのが大変すぎてあんま会議の内容が入ってこなかった。


まぁいい、たしか次は謁見の間に行かなくてはならないらしいのだがどうやら時間的にまだ余裕があるため今すぐ行くわけにもいかない。


だがどこかに行って帰ってくるほどの時間もなくどうしようかと考えていたところ声をかけられた。


「お、フェイじゃないか。こんな所で何しておるのじゃ」


俺に声を掛けてきたのは元緑帝 エルフのエルメダだった。


「いや、約束の時間まで少々時間があるからどうしようか迷っていたところだ」


「おぬしの言う少々だとざっと三カ月から1年といったところか」


「そんなわけないだろ俺は長寿種にしては時間感覚は相当まともだ。ざっと1時間くらいだ」


「それならわしの部屋で話さないか?帝を引退してからも皇帝陛下のご厚意で時たま元部下の顔や馬鹿弟子の顔を見に来ておるのじゃ。頻繁に来るせいでわし専用の部屋まで用意されてもうた」


「まぁ、エルメダが引退してから忙しくてあまり話せていなかったしな。聞きたいこともあるし行くとしよう」










「ここじゃ、元は帝などが臨時で泊まったりするときの部屋じゃったんだが今は帝が減って部屋が余ってたおかげで譲ってもらえたわい」


「たしかに4年前の事件から8人近く減ったからな」


「そうじゃな、まぁとりあえず座ってくれ」


「座らせてもらうとする」


「それで、聞きたいこととはなんじゃ?」


「率直に聞く、何故帝を引退した。エルメダは俺と同じ長寿種で年齢は言い訳にできないしあの戦いで何か後遺症を負ったわけでも力が衰えたわけでもない」


「罪滅ぼしじゃよ」


「やはりか、お前が責任を感じる必要はないと再三言ったがな」


「それでもじゃ、お主を待たずやつと開戦する決断をしたのはわしと武帝じゃ。弟子の中にユスティニア王国が故郷の者がいてな、王都に知り合いがいっぱいいるからどうか助けてくれと泣きながら頼まれてしもたんじゃ。他の帝の反対意見を押し切って同盟国の危機という建前で皇帝陛下をなんとか説得し開戦した」


その話は初めて聞いたなおそらく皆言わないようにしてたのだろう。


「わしのせいで多くの命が散った。5人いた弟子も今じゃ一人しかおらん。わしも他の帝もその現実が耐えられなかったんじゃ。だからお主1人に後を任せて引退してしまった。他の帝を代表させて謝らせてくれ。すまんかった」


「俺はお前らに謝罪にしてほしいなんて思ったことはない」


これは本心だ、たしかに皆が引退してから死ぬほどいぞかしかったがそれでも仕方がないと割り切っていた。俺も数百年前なら耐えられずに引退してただろうし。


「ならば感謝じゃ、全帝国民いや、全大陸民を代表して感謝を伝えさせてくれ」


「そんな感謝されるほどの事をしたつもりもない」


「何を言うか、戦いで傷ついたものを癒やし、荒廃した土地に魔力を流して再生させ。対応する者がいなくなり大量発生した魔物を討伐し、戦争を仕掛けようとしてきた魔人の過激派を単独で海の藻屑にしてそのまま講和条約を結び新しく穏健派の王をつかせた。ここまで大暴れしておいてまだ言うのか?」


「帝の務めを果たしたまでだ」


「はぁ~お主大陸の間でなんと呼ばれてるか知っておるか?」


「炎帝フェニックスじゃないのか?」


「はぁ、それだけではない。大陸の守護神や火の神なんて言い始めるやつが出てきておる。しまいには拝火教なんて言う宗教まではやり始めておる」


「あぁ、それは知ってるぞ。皇帝陛下が神から王権を授与されているなら俺に王権を返すべきだと言い始めた馬鹿どもだ」


下手したら俺の首がとんでもおかしくない内容だ。まぁ帝国には200年近く仕えているため皇帝陛下も俺には絶大な信頼を置いているが。


はぁ、まじ引退したい。

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