雰囲気がとてもいい作品でした。
タイトルに違和感があったんですが、最後まで読んで、「あ、そういうことか」と腑に落ちました。
なので、最後まで読んだ方がいいです。
さて、この作品がどういう物語か、ざっくりと説明します。
季節は夏、主人公は祖母の葬式のため、田舎に訪れていました。
海が見える道路を歩いていると、バス停のベンチに、髪の長い女の子がいるのを発見します。
彼女は不思議な子であの海である少女が溺死したという話を唐突に語ってきます。
いったいこの少女は何者なのか?
主人公は「君、この辺の子?」と質問しますが、少女はまともに答えません。
すると彼女はいきなり「クイズをしましょうか」と言ってきてルールを説明してきます。
その内容は、一日三回まで少女のことについて質問ができて、彼女はそれに対してイエスかノーで答えること、また今から十日後までに少女の正体を当てないといけない、というものだった。
この少女が何者なのか、気になる人は是非この作品を読んで、考えていただきたいです。とてもおすすめの作品です!
レビューに何から書いたらいいのか分からないのですが、とにかく凄いです。余韻が凄まじいです。前知識一切なしで読んでいただきたい作品です。
なので以下の内容はできれば読まずに本編に入ってほしいのですが、一応拝読した感想をここに残させていただきます。
本来なら文学系が受賞するはずのカクヨム甲子園において「あの作品」で選出された時点で餡団子様の実力は証明されているのですが、本作はその描写力と構成力が完璧にマッチしています。
ミステリはミステリである以前に小説である、ということを再認識させられました。探偵が推理した内容をペラペラ語るというのももちろん良いのですが、本作においては「推理することの意義」というものがちゃんと存在していて、そこが素晴らしいなと。
内容としては、田舎町にやってきた「僕」が髪の長い女の子に出会い、彼女から「十日間の間に、一日三つ『はいかいいえで答えられる質問』をして、私の正体を当てて」というクイズを出題されます。
そこから普通にクイズとそれに基づく推理が始まるのかと思いきや、展開は意外な方向へ。
最後の一文にはもう一種の畏怖の念を抱いてしまいました。こんなに読者を揺さぶるラストがあって良いのか、と……。
僕は「自分には絶対書けないなと思わされるミステリ作品」に対して超高評価をつける癖があります。
根っからそう思わされる作品はカクヨムでも両手で数えられるほどしか出会っていないのですが、本作(と『牧野瓜子の遺言』)はその中にバッチリ入りましたね。
(一応補足。この中に入ってない作品に対して『自分でも書けるな』と思っているわけでは断じてありません。読んでいる最中に『自分には書けないな』という畏怖の感情が無から生み出される圧倒的な作品のことを言っています)
高校生の書き手とは思えない超絶技巧だと思います。必読の傑作です。