第三章
翌日、ニュースで彼女の失踪が報じられた。
テレビ画面に映る笑顔の写真を見つめる三上の目は、冷たく光っていた。
警察に呼ばれ、何度も事情を聞かれる。
彼女が立っていた位置、体の向き、周囲の人物——すべてを鮮明に覚えている。
一つも、見落とさなかった。
尋問室の蛍光灯は、白く冷たい影を三上の顔に落とす。
記憶力を褒められたとき、胸の奥で微かに熱い感覚が広がった。
「自分は、ちゃんと見ていた」——それだけで十分だ。
他の誰かに触れられた事実を受け入れられない冷たい渇望が、胸の奥で静かにうごめく。
捜索は長く続いた。
張り紙は次第に剥がれ、名前はニュースから消えた。
だが三上の胸の奥のざわつきは、微動だにしなかった。
誰かが先に触れた——その事実だけが、胸をひりつかせる。
夜の街を歩くと、通りの影が揺れるたび、彼の胸は微かに震えた。
誰かが見ている——そんな錯覚が、街灯の光と影の中で、ゆっくりと膨らむ。
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